「これ、算定漏れかもしれない…」
「気づいたけど、どこまで遡って請求していいのか分からない」

算定を扱っていれば、新人でもベテランでも一度は通る場面のはずです。

算定漏れに気づいた後の動き方を、実際にやってきた順番で書きますね。
慌てて自己判断する前に、確認する順番さえ知っていれば落ち着いて動けます。

この記事でわかること
- 算定漏れに気づいた時、最初にすること
- 保険者への再請求はいつまでできるか、時効の考え方
- 患者への追加請求が難しい理由
- 算定漏れを減らすための日常の工夫

結論から言うと、算定漏れは気づいた時点で院内に報告し、時効内なら保険者への再請求ができるケースが多いです。ただし患者さんへの追加請求は、時効以前に実務上のハードルがあります。

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算定漏れとは?査定・返戻との違いを先に整理

似ている3つの言葉を、先に区別しておきますね。

算定漏れは、本来算定できた項目に、後から気づくことです。
提出前の自主点検で見つかることもあれば、提出後にカルテを見返して気づくこともあります。

一方で、査定返戻は少し違います。

用語 起きるタイミング 内容
算定漏れ 提出前後どちらも そもそも請求していなかった項目に気づく
査定 提出後の審査 保険者側の審査で点数を減らされる
返戻 提出後の審査 書類の不備などで差し戻される

査定と返戻の仕組み、審査で見られる3つのポイントは、少し込み入った話になるので、査定・返戻で迷った時に戻れる、診療報酬の確認順(¥1,980)でもう少し詳しく整理しています。
この記事では、「自分たちで気づいた算定漏れ」に絞って、対応の順番を見ていきますね。

算定漏れに気づいたら、最初にすること

気づいた瞬間は、つい自分だけで確認を進めたくなるものです。
でも、まず声をかけるところから。これが最初の一歩です。

気づいた時点で先輩か事務長に報告し、院内のルールに沿って進めるのが基本です。
早く報告するほど、選べる対応の幅が残ります。ここが分かれ目です。

💬 「◯月分の△△の算定、漏れているかもしれません。確認していただけますか」

「自分のミスかもしれない」と抱え込みたくなる気持ちはわかりますが、算定漏れは一人で抱えるものではありません。
院内で誰に報告するかは病院ごとの決まりごと。迷ったら早めに確認しておくと安心ですよ。

保険者への再請求はいつまでできる?時効は原則5年

気づいた算定漏れが、時効内かどうか。ここは正確に押さえておきたいところです。

診療報酬の請求権の時効は、令和2年4月1日の民法改正により「原則5年」です。
それ以前は3年とされていましたが、現在は5年に変わっています。増減点連絡などによる再審査請求をする場合も同じ扱いです。

起算日には注意が要ります。
請求先によって違います。

請求先 起算日
支払基金(社保) 診療月の翌月1日
国保連合会 診療月の翌々々月1日

同じ診療月のレセプトでも、社保と国保では時効の満了日がずれるので注意が必要ですね。
古い診療月の分をまとめて請求する時は、事前に請求先の機関へ一報を。手続きがぐっとスムーズに進みます。

時効内であれば、未請求分は月遅れ請求として、査定で減点された分は再審査請求として、それぞれ保険者に請求できる仕組みです。どちらも窓口や様式が異なるので、件数が多い場合や診療月が古い場合は、上長に相談してから進めるほうが確実です。

患者さんへの追加請求はできる?現実には難しい理由

ここが、算定漏れでいちばん悩ましい部分です。

保険者への請求とは別にある論点。患者さんの窓口負担分をどうするかです。
制度上は請求できる余地があっても、実務では簡単に進められないことが多いですね。

理由はシンプル。
患者さんからすると「終わったはずの会計に、後から追加で請求される」場面だからです。
説明の仕方ひとつで、信頼関係に影響することもあります。

💬 「先日の診療について、確認が必要な点がございました。詳しくは病院からあらためてご案内いたします」

この場面は院内でも判断が割れやすいところです。自分だけで結論を出さず、上長・事務長に相談してから動くのが安心です
少額なら院内で判断して請求を見送るケースもあれば、金額次第で丁寧に説明のうえ請求するケースもあります。どちらが正解ではなく、病院ごとの方針次第です。

算定漏れを減らすための日常の工夫

対応の順番と同じくらい大事なことがあります。
気づきやすくする仕組みです。

  • 提出前の自主点検のタイミング
  • よく漏れる加算や指導料をまとめた、自分用チェックリスト
  • ダブルチェックを依頼する相手の固定

日々の処理そのものを効率化する工夫は、医療事務の算定にコツはある?10年目が使う早見ルールと確認手順にまとめています。
「覚え方」ではなく「毎回ゼロから考えない仕組み」の作り方を書いているので、あわせて読んでみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 算定漏れは誰の責任ですか?

個人の責任として処理するかどうかは、病院の方針によります。
まずは隠さず報告することが先です。報告が早いほど、選べる対応は多く残ります。

Q. 時効を過ぎていたら、もう請求できませんか?

原則として、時効が過ぎた分は請求できません。
ただし起算日は支払基金と国保連合会で異なるため、自己判断せず院内で確認してから結論を出してください

Q. 増減点連絡書が届いたら、どうすればいいですか?

増減点連絡書は、提出したレセプトの点数が審査側で見直された時に届く連絡書です。
内容を確認し、納得できない点があれば再審査請求という形で異議を申し立てられます。院内のルールに沿って進めてください。

Q. 算定漏れをそのままにすると、どうなりますか?

放置すると、時効の関係で請求できる期間が短くなっていきます。
気づいた時点で早めに報告するほうが、選べる対応が残ります。

Q. 患者さんから「請求が違うのでは」と指摘された場合は?

その場で結論を出さず、いったん確認してあらためて連絡するのが安全です。
自己判断で金額の話をせず、必ず院内で確認してから対応してください。

Q. 月遅れ請求と、算定漏れの再請求は同じことですか?

近い場面で使われますが、月遅れ請求は「提出期限を過ぎた分をあらためて出す」こと全般を指します。
算定漏れの再請求もこの中に含まれる、と考えると分かりやすいはずです。

算定漏れに気づいた後の動き方

  1. 気づいたら、まず院内に報告する:自己判断で再請求を進めない
  2. 保険者への時効は原則5年:起算日は請求先で異なるので要確認
  3. 患者さんへの追加請求は病院の方針次第:自分だけで判断しない

算定漏れは、誰にでも起こりうる場面です。
大事なのは完璧な予防より、気づいた後の動き方。そこに尽きると感じています。

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■ 著者プロフィール
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1院で元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年9月1日