ゆう|もうひとりで悩まない医療事務note ↗

レセプトの特記事項一覧|医療事務が使うコードと略号【2026年8月改正】

お金と制度by ゆう|医療事務ブロガー公開日 2026/09/21

「特記事項、この患者さんは何を入れるんでしたっけ」

月初のレセプト点検で、いちばん迷う欄ではないでしょうか。区ア、区イ、多ア、多エ。似た略号が並んでいて、どれが正解か分からなくなります。毎月のことなのに。

私も最初の数年は、先輩の入力を横目で見ながら真似していました。

特記事項は厚生労働省の記載要領で決まっていて、数は33件。全部を覚えている人は、私の周りにもいません。毎月出てくるのは、そのうちのひと握りだけ。

この記事でわかること
- 特記事項のコードと略号 33件の一覧
- 2026年8月1日から変わった「35 多オ」の対象
- 区ア〜区キ、多ア〜多キの読み分け
- 入れ忘れた時に起きること
- 迷った時に、どこを見れば決まるか

結論から言うと、特記事項は「窓口で何が確認できたか」で決まります。患者さんの年齢や所得を推測して選ぶ欄ではありません。

認定証や受給者証の記載、マイナ保険証で取得した資格情報。基本は、そこで確認できた区分をそのまま写す形になります。

今やること
2026年8月1日から「35 多オ」の対象が広がりました。70歳以上・低所得者Ⅱで難病や特定疾患の公費を使っている患者さんがいたら、8月診療分から入れ忘れがないか見てください。
▼ 33件の一覧を見る

2026年8月1日から変わったところ

先に、今年の改正から。

厚生労働省が令和8年7月29日付で記載要領を改正しました(保医発0729第2号)。適用は令和8年8月1日から、つまり8月診療分のレセプトからです。

通知の原文は、こうなっています。

高額療養費制度の見直し(令和8年8月施行分)により、70 歳以上の低所得者Ⅱ区分の者に係る高額療養費の多数回該当(24,600 円)が設定されることに伴い、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26 年法律第50 号)による特定医療又は特定疾患治療研究事業に係る公費負担医療において、自院における高額療養費の支給が直近12 か月間において4月目以上である場合は、特記事項欄に「35 多オ」を記載すること。

出典:厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』の一部改正について」令和8年7月29日 保医発0729第2号

これまで「35 多オ」の対象は、70歳未満の低所得者(適用区分オ)だけでした。8月から70歳以上の低所得者Ⅱが加わっています。

入れるのは3つとも当てはまる時

# 条件
1 70歳以上で、低所得者Ⅱの区分
2 難病法の特定医療、または特定疾患治療研究事業の公費
3 自分の病院での高額療養費の支給が、直近12か月で4月目以上

3つとも満たす月に入れます。1つでも欠けたら対象外。

70歳未満の低所得者で多数回該当の場合も、これまでどおり35 多オを入れます。8月の改正は対象を足したもので、置き換えではありません。

なぜ変わったのか

高額療養費制度そのものが変わったからです。

健康保険法施行令等の一部を改正する政令が令和8年8月1日に施行され、70歳以上の低所得者Ⅱに多数回該当の限度額24,600円が設定されました。

70歳以上で低所得者Ⅱの患者さんが同じ12か月のうちに4回目の高額療養費を受けると、その4回目から負担の上限が下がる、という変更です。

下がったことをレセプトの上で示すのが、35 多オの記載です。制度側に新しい区分ができたので、レセプト側にもそれを示す記載が要ります。

特記事項の一覧 33件

令和8年8月1日時点の一覧です。コード順に並べました。

電子レセプトではコードと略号の両方を記載します。レセコンで略号を選べば自動で入りますが、選ぶのは人です。

コード・略号 入れる場面
01 公 医療保険単独・後期高齢者医療単独で、公費負担医療が行われる療養の費用が政令の金額を超えた時
02 長 特定疾病療養受療証を持つ患者さんで、負担額が政令の金額を超えた時
03 長処 慢性腎不全の連続携行式腹膜灌流(腹膜透析)で、同一月の投薬を院外処方箋のみで行い、窓口で負担額を受領しない時
04 後保 公費負担医療のみで、請求点数を高齢者医療確保法の規定によって提供する時
07 老併 介護老人保健施設に入所中の患者さんの診療料を、併設の医療機関で算定した時
08 老健 介護老人保健施設に入所中の患者さんの診療料を、併設以外の医療機関で算定した時
09 施 特別養護老人ホーム等に入所中の患者さんについて診療報酬を算定した時
10 第三 交通事故など、第三者の不法行為によるけが・病気の時
11 薬治 治験(人体に直接使用する薬物)に係る請求
12 器治 治験(機械器具等)に係る請求
13 先進 届け出た先進医療を実施した時
14 制超 算定回数の上限を超えて行った診療で、保険外併用療養費の対象となるもの
16 長2 特定疾病療養受療証で、負担額が政令の第2号の金額を超えた時
21 高半 月の初日以外に75歳になった被扶養者等が、その月に療養を受けた時
25 出産 出産育児一時金の直接支払制度を利用する出産の請求
26 区ア 70歳未満・標準報酬月額83万円以上。国保は旧ただし書き所得901万円超
27 区イ 70歳未満・標準報酬月額53万〜79万円。国保は600万円超〜901万円以下
28 区ウ 70歳未満・標準報酬月額28万〜50万円。国保は210万円超〜600万円以下
29 区エ 70歳未満・標準報酬月額26万円以下。国保は210万円以下
30 区オ 70歳未満・低所得者の世帯。35に当たる時を除く
31 多ア 区アに当たる世帯で、多数回該当の時
32 多イ 区イに当たる世帯で、多数回該当の時。70歳以上は課税所得380万円以上・区分Ⅴ
33 多ウ 区ウに当たる世帯で、多数回該当の時。70歳以上は課税所得145万円以上・区分Ⅳ
34 多エ 区エに当たる世帯で、多数回該当の時。70歳以上は課税所得145万円未満・区分Ⅲ
35 多オ 低所得者の世帯で、多数回該当の時。2026年8月1日から70歳以上の低所得者Ⅱも対象
36 加治 治験(加工細胞等)に係る請求
37 申出 患者申出療養を実施した時
38 医併 介護医療院に入所中の患者さんの診療料を、併設の医療機関で算定した時
39 医療 介護医療院に入所中の患者さんの診療料を、併設以外の医療機関で算定した時
41 区カ 後期高齢者医療・2割負担。課税所得28万円以上145万円未満で収入要件に当たる方
42 区キ 後期高齢者医療・1割負担。課税所得28万円未満など
43 多カ 区カに当たる方で、適用区分Ⅲの受給者証があり多数回該当の時
44 多キ 区キに当たる方で、適用区分Ⅲの受給者証があり多数回該当の時

05・06・15・17〜20・22〜24・40は欠番です。表から抜け落ちたのではなく、もともと設定されていません。

条文そのものは長く、ただし書きも付いています。判断に迷ったら要約ではなく原文を見てください。記載要領の全文は厚生労働省のサイトにあり、記事末の出典からたどれます。

毎月出てくるのはひと握り

全部は覚えません。外来の受付と点検で繰り返し出てくるのはこの範囲。

よく出る どんな患者さんか
02 長 / 16 長2 人工透析、血友病、後天性免疫不全症候群。特定疾病療養受療証を持っている方
10 第三 交通事故。自賠責に切り替わる前の保険診療
26〜30 区ア〜区オ 70歳未満で限度額適用認定証を出した方、公費の受給者証に区分の記載がある方
41・42 区カ・区キ 後期高齢者医療で、公費と併用している方

残りは、出てきた時に調べれば間に合いますよ。

区と多の読み分け

似ていて迷うのが、区ア〜区オと多ア〜多オ。

分かれ目は多数回該当かどうか。自分の病院での高額療養費の支給が、直近12か月で4月目以上になっているかを見ます。

  • 1〜3月目 → 区ア〜区オ
  • 4月目以上 → 多ア〜多オ

多数回該当そのものの数え方は、別の記事にまとめています。

区アの人が4月目に入れば多ア。区エの人が4月目に入れば多エ。所得区分はそのままで、頭の文字が入れ替わるだけですね。

多数回該当の判定はうちで何回目かで決まります。ここに気をつけたいところ。

患者さんが他の病院でも高額療養費に当たっていたとしても、数えるのは、うちの分だけ。

70歳以上は区分の呼び方が変わって、現役並みⅢ〜Ⅰ、一般、低所得者Ⅱ・Ⅰ。受給者証の適用区分ではⅤ〜Ⅰの数字で書かれています。表の32〜34に添えたのが、その対応です。

どこを見れば決まるか

迷ったら、材料を見ます。その日窓口で確認できたものだけ。患者さんの見た目や年齢から推測するのではなく、目の前にある材料だけで決めるほうが、結果として速いです。

  1. 限度額適用認定証、または限度額適用・標準負担額減額認定証に区分が書いてある
  2. マイナ保険証で資格確認をすると、限度額の適用区分まで取得できる
  3. 公費の受給者証に適用区分の記載がある
  4. 後期高齢者医療資格確認書に一部負担金の割合が書いてある

どれも出ていなければ、区分は分かりません。推測で入れない。確認してから入れるほうが、結局は早く終わります。

なお指定難病の受給者証は、2026年3月から適用区分の記載が外れました。そちらは別の記事にまとめています。

限度額適用認定証をお持ちでしたら、お預かりできますか。お持ちでない場合も、マイナンバーカードで確認できます。

受給者証の区分のところを確認させてください。こちらの記載で、今月のお支払いが変わることがあります。

空欄と、間違いは違います

特記事項が空欄でも、間違いとは限りません。

認定証もマイナ保険証の資格情報もなければ、区分は入れられない。その患者さんは窓口で通常の自己負担を払って、あとからご自分で保険者へ申請し、払い戻しを受けます。

限度額の認定を取らずに、毎回この流れで通している方もいますよね。制度どおりの動き方です。

返戻になるのは、入れた区分が間違っていた時。

多いのは次の2つ。

  • 認定証を月の途中で預かったのに入力が後回しになって、前月の区分のまま出した
  • 多数回該当の4月目に入ったのに、前月と同じ区アのまま出した

どちらも、レセプトに載っている区分と、実際の区分が食い違う形。認定証を預かったその日に入力まで終わらせておくと、この2つはほとんど消えますよ。

よくある質問

Q. 限度額適用認定証がない患者さんは、特記事項をどうしますか?

区分が確認できないので、原則として入れません。マイナ保険証で資格確認ができれば適用区分まで取得できるので、まずそちらを試してみてください。

Q. 限度額適用認定証を出さない患者さんは、損をしますか?

いえ。窓口で自己負担分を払って、あとからご自分で保険者へ申請すれば、払い過ぎた分は戻ります。認定証やマイナ保険証で先に区分が分かれば、その場で限度額までの会計にできる。

そこが違うだけです。

Q. マイナ保険証で区分が取れた場合、認定証は要りますか?

オンライン資格確認で限度額の適用区分が取得できていれば、その区分を特記事項に入れます。認定証の提示を別に求める必要はありません。

Q. 月の途中で所得区分が変わったら、どちらを入れますか?

迷ったら、加入している保険者や公費の担当に確認してください。扱いが変わるのは、区分の変更日と、その月の診療日の関係。

Q. 70歳以上で認定証を持っていない場合は?

後期高齢者医療なら、資格確認書の一部負担金の割合から区カ・区キを判断します。公費との併用がなければ、そもそも入れない月も。

Q. 多数回該当の4月目かどうか、どこで分かりますか?

自分の病院での高額療養費の支給回数を、直近12か月で数えます。レセコンに履歴が残っている施設が多いはずです。

残っていなければ、月初の点検で前月までの請求をさかのぼります。

Q. 「35 多オ」の8月改正は、7月分の請求にも関係しますか?

適用は令和8年8月1日からなので、7月診療分はこれまでの取り扱いのままです。

月初に見返したい3つ

  1. 特記事項は33件。毎月出てくるのはひと握りで、残りは出てきた時に引けば足ります
  2. 選ぶ基準は、患者さんの情報ではなく窓口で確認できた区分。推測で入れない
  3. 2026年8月1日から「35 多オ」に70歳以上の低所得者Ⅱが加わりました。難病・特定疾患の公費で、多数回該当の月が対象です

月初に慌てないための欄なのに、月初にいちばん迷う欄でもありますよね。迷ったら表に戻る。それで足ります。

関連記事

算定の根拠を厚生労働省の原文で確認したい時は、登録なしで使える算定ナビを載せています。

▷ 医科算定ナビ

出典

出典:厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」令和8年3月27日 保医発0327第2号(PDF

出典:厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』の一部改正について」令和8年7月29日 保医発0729第2号(令和8年8月1日適用)

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(リンク

いずれも2026年9月21日に確認しました。

画面の表示や様式は、レセコンの機種やバージョンで変わるところ。勤務先の運用とあわせて確認してください。

この記事を保存する

この端末に保存されます。登録は不要です。保存した記事はこちらから読めます。

この記事をシェア:𝕏 ポストLINE

感想・質問はSNSで教えてください

読んでみての感想や、記事への質問など
気軽にメッセージしてもらえると嬉しいです

📸 Instagramでメッセージ

🔥 こちらもおすすめ

医療事務のベースアップ評価料報告書|提出前に確認する4つの順番

続きを読む →

ベースアップ評価料が給料に反映されない?医療事務が制度のからくりを解説

続きを読む →

同日再診・同日入院の算定は1回?2回?医療事務が解説【判断基準】

続きを読む →

← 記事一覧に戻る