「配属された科が、思っていたより難しい」「これから選ぶなら、どの科がいいの?」

同じ医療事務のはずなのに、隣の科の話がまるで通じない。総合病院ではよくある光景です。

3つの総合病院で複数の診療科を回り、うち1つの病院で元採用担当を3年。科をまたいで働いた側から書きますね。

✅ この記事でわかること
- 診療科で「受付・算定・患者層・覚える量」がどう変わるか
- 難しいと言われる整形外科・眼科・内科の正体と、乗り越え方
- 総合病院で科をまたいで異動したとき、経験は持ち運べるのか
- 元採用担当として、診療科の経験をどう見ていたか(採る側の本音)

結論から言うと、医療事務の仕事は診療科で大きく変わります。ただし「特別きつい科」があるのではなく、きつさの種類が違うだけです。 その違いを、現場を回った経験と採る側にいた経験の両方から書いていきます。

✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ


同じ医療事務でも、診療科で仕事はこんなに変わる

「医療事務」とひとくくりにされますが、現場での実感はかなり違います。私は総合病院で複数の科の受付や算定を経験してきました。配属される科が変わると、ほとんど別の仕事。大げさではありません。

違いが出るのは、主に次の4つ。

変わるポイント
患者層 高齢者中心/子ども中心/働く世代中心など、来る人がまるで違う
受付の流れ 予約制かどうか、検査や処置の多さで、待ち時間と動きが変わる
算定のくせ リハビリ・検査・処置・管理料など、科ごとに頻出する算定が違う
覚える量 略語・病名・処置の種類が、科によって一気に増える

たとえば受付ひとつとっても、高齢の患者さんが多い科では保険証の確認や説明にていねいな時間が必要で、一人あたり数分かかるのが当たり前になります。働く世代が中心の科で求められるのは、逆に回転の速さ。同じ「受付が上手い」でも、中身は正反対。

「医療事務に向いてない」と落ち込む前に、「この科のやり方が、今の自分に合っていないだけ」かもしれない。 これは、複数の科を回って強く感じたことです。


「難しい」と言われる科の正体と、乗り越え方

ここからは、特に「難しい」と言われやすい科を、私の経験の範囲で書きます。点数の細かい数字は改定で変わるので、ここでは触れません。あくまで現場の手触りとして読んでもらえたらうれしいです。

整形外科:リハビリの算定が山場

整形外科でつまずきやすいのは、リハビリ関連の算定。ここが最初の山場です。

運動器のリハビリには、部位ごとの区分や開始からの期間、算定できる日数の上限といったルールが重なっていて、患者さんごとに「今どの段階か」を追いかけながら算定していく形です。最初は「どこまで算定できるのか」「この患者さんは開始から何日目か」を追いきれずに混乱しがち。装具やレントゲンの件数も多く、受付そのものもよく混みます。

患者層も幅広く、高齢の人、部活でけがをした子ども、そこに労災や交通事故の対応が混じる日も。混み合う日は、受付の前に列ができたまま昼を迎えます。

乗り越え方は、リハビリの算定ルールだけを先に1枚の表にまとめてしまうことでした。全部を一度に覚えようとせず、頻出する処置から順に手元の早見表を作ると、ぐっと楽になりますよ。

💬 リハビリの日数を患者さんに聞かれたときの一言
「開始した日からの日数で決まりますので、初回の日付を確認してご案内しますね」
その場で答えられなくても、確認する順番を口に出せれば大丈夫です。

眼科:検査の多さと略語の壁

眼科は、とにかく検査の種類が多い科。視力、眼圧、眼底と、1人の患者さんで複数の検査が同時に走ります。

新人さんがまず戸惑うのは、カルテに飛び交う略語。検査名も所見も略語で書かれていて、最初はまったく意味が分かりません。そこにコンタクトレンズなどの自費診療が混じる日もあるので、保険と自費のどちらで会計するのかを、その場で見分ける場面も出てきますね。慣れます、これは。

略語は、自分専用の用語メモを作って、出てきたものから書き足すのが近道でした。1か月もすれば、よく出る略語は自然と頭に入ります。

内科:患者層が広く、季節で大きく動く

内科は、来る患者さんの幅がいちばん広い科。生活習慣病で定期的に通う人の管理、処方、各種検査が毎日動きます。

特定の疾患を継続して診る場合の管理料など、覚えるのは再診まわりの算定が中心です。さらに、インフルエンザの流行期や健診シーズンには受付が一気に混みます。予防接種や健診といった自費の対応も重なる時期で、季節で忙しさがまるごと変わる科。

ここでの工夫は、「いつ・何で混むか」を先に知っておくことでした。繁忙期の前に流れを頭に入れておくと、当日の慌て方がまったく違います。

どの科にも、最初の「分からなくてきつい時期」があります。でも、それは才能ではなく慣れの問題です。 早見表とメモで、越えられますよ。


一覧で見る、診療科ごとの忙しさの違い

「結局どの科が大変なの?」と聞かれることがあります。一覧にしてみますね。

患者層 受付の忙しさ 算定の山場
整形外科 高齢〜子ども・労災 混みやすい リハビリ関連
眼科 全世代・自費が混在 回転が速い 検査が多い
内科 全世代・季節で変動 繁忙期に集中 管理料・処方

こうして並べると、「楽な科」があるのではなく、忙しさの出方が違うだけだと分かりますよね。整形外科は算定の細かさ、眼科はスピードと用語、内科は波の大きさ。負担のかかる場所が、それぞれ別なだけ。

もうひとつ、見落とされがちな違いがあります。同じ科でも「受付だけを担当するか」「算定まで担当するか」で、覚える量がまったく変わること。受付中心の配置なら患者対応が中心になりますが、算定まで任される配置になると、その科に固有の点数ルールを条件つきで覚え込む必要が出てきます。負担の質が別物です。

自分の負担がどこから来ているのかが分かると、「この科が無理」ではなく「この部分に慣れればいい」に変わります。的が絞れますよ。


総合病院は科をまたぐ。でも、経験は持ち運べる

総合病院で働くと、異動で診療科が変わることがあります。せっかく慣れた科を離れるのは不安ですし、「また一から覚え直しか」と落ち込む気持ちも、よく分かりますよ。

ただ、複数の科を回って気づいたのは、ゼロからのやり直しではないということ。

  • 保険証の確認、受付の基本動作、患者対応の土台は、どの科でも同じ
  • レセプトの考え方や、算定の調べ方の「型」は持ち運べる
  • 一度どこかの科で算定の難所を越えた経験は、次の科の理解を速くする

変わるのは、各科の固有の知識だけ。土台が一度できていれば、新しい科は上乗せで覚えていけますよ。

私自身、複数の科を経験したことで、結果的にどの現場でも動ける幅が広がりました。異動を言い渡された日はがっかりしましたが、いま振り返れば、あの数年が専門性をいちばん厚くしてくれた期間でした。


元採用担当として、診療科の経験をどう見ていたか

採用する側にいた3年間、応募書類で診療科の経験も見ていました。先に結論を書きますね。

特定の科の経験そのものより、「科が変わっても対応できそうか」を見ていました。

私が注目していたのは、この3つ。

  • 経験のない科でも、覚える意欲があるか
  • これまでの科で、算定の難所をどう乗り越えてきたか
  • 患者層の違う環境に、柔軟に入れそうか

「整形の経験者だから整形でしか使えない」とは、考えていませんでした。むしろ、複数の科を経験した人や、未経験の科でも前向きな人を、長く働ける人材として見ていました。

これから科を選ぶ場合も、「この科でしか通用しないのでは」と心配しすぎなくて大丈夫。一つの科でしっかり土台を作れば、その経験はちゃんと評価されますよ。


これから配属される人・科を選ぶ人へ

最後に、配属が決まって不安な場合と、これから科を選ぶ場合の判断材料。

「楽な科」を探したい気持ちは分かります。ただ、どの科にも忙しさと難所はあります。 楽さで選ぶより、自分の得意とすり合わせるほうが続きますよ。

  • コツコツ算定ルールを覚えるのが苦でない人:整形外科や内科の算定は、やりがいになりやすい
  • 細かい検査や専門用語を覚えるのが好きな人:眼科のような検査の多い科が合いやすい
  • 幅広い患者さんと接したい人:内科のような患者層の広い科が向きやすい

💡 これから職場を選ぶ場合は、求人票の診療科名だけでなく「受付だけを担当するか、算定まで担当するか」を面接で確認しておくと、入職後のギャップがぐっと減ります。医療事務に強い転職サイトの選び方は別記事「医療事務の転職サイト比較」にまとめました。

もし配属された科がきつくても、それは「向いていない」ではなく「まだ慣れていない」段階であることがほとんどです。実際、入職して3か月で「この科は無理かもしれない」と言っていた人が、半年後には後輩にリハビリの算定を教えている。そんな場面を、私は何度も見てきました。

今の科がきついなら、今日ひとつだけ試してみてください。今週いちばん手が止まった算定を、1件だけ紙に書き出す。それが自分にとっての「この科の難所」で、そこを早見表にした瞬間から景色が変わり始めますよ。

科は変わっても、医療事務の土台は積み上がっていきます。私がそうでした。


よくある質問(FAQ)

Q. 医療事務で、いちばん難しい診療科はどこですか?

科によって難しさの種類が違うため、一概には言えません。整形外科はリハビリの算定、眼科は検査と略語、内科は患者層の広さと季節変動が山場になりやすいです。自分が何を苦に感じるかで、難しさの感じ方は人それぞれです。

Q. 算定が覚えられません。科を変えれば楽になりますか?

科を変えても、その科の算定を新しく覚える必要があります。楽になるというより、得意な算定に出会える可能性はあります。まずは今の科の頻出算定を早見表にまとめるほうが、近道になることが多いです。

Q. 未経験でも、難しい科に配属されることはありますか?

あります。配属は病院の人員事情で決まることが多く、未経験の科に入ることもあります。ただ、最初から完璧を求められるわけではありません。先輩に確認しながら、頻出から覚えていけば追いつけますよ。

Q. 総合病院で異動すると、また一から覚え直しですか?

固有の知識は覚え直しになりますが、受付の基本やレセプトの考え方など、土台は持ち運べます。一度どこかの科で難所を越えた経験は、次の科の理解を速くしてくれるはずです。

Q. 配属された科が体力的にきつい場合は、どうすればいいですか?

受付中心か算定中心かで負担はかなり変わるので、まずは今の担当範囲を上司に確認してみてください。総合病院なら、同じ科の中で担当を入れ替えてもらえることもあります。それでも難しければ、異動の希望を出すのは正当な相談です。

Q. 個人医院と総合病院で、診療科の働き方は違いますか?

個人医院や診療所は1つの科に専念しやすく、総合病院は複数の科を経験する機会が増えます。専門性を1科で深めたいか、幅広く経験したいかで、向き不向きが分かれるところです。

Q. 採用では、特定の科の経験が有利になりますか?

その科の求人なら有利に働きます。ただ私が採用側で見ていたのは、科そのものより「科が変わっても覚えていけるか」でした。複数科の経験や、前向きな姿勢のほうが、長い目では評価されやすいです。


まとめ

  1. 医療事務の仕事は診療科で変わる。患者層・受付・算定のくせ・覚える量の4軸で違いが出る
  2. 整形外科はリハビリの算定、眼科は検査と略語、内科は患者層と季節。難しさの種類が違うだけで、早見表とメモで越えられる
  3. 総合病院で科が変わっても土台は持ち運べる。採用側も「科が変わっても対応できるか」を見ている

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著者プロフィール
ゆう|医療事務10年以上・現フルリモート
3つの総合病院で医療事務を10年以上務め、複数の診療科で受付や算定を経験しました。うち1つの病院で元採用担当を3年。現在はフルリモートで算定業務をしながら3人の子どもを育てています。「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
Instagram: @iryo_jimu

最終更新日:2026年7月26日