「男性でも医療事務になれるの?」「男性だと採用されにくい?」そう感じている人は少なくありません。男性の給料で家族を養えるのか、不安に思う人もいるはずです。
この疑問に、3つの総合病院で男性の医療事務として10年以上、うち1つの病院で元採用担当を3年やってきた経験からお答えします。
✅ この記事でわかること
- 医療事務に男性が少ない理由と、それでもなれる根拠
- 元採用担当として、男性の応募をどう見ていたか(採る側の本音)
- 男性だからこそ役に立った場面と、きつかったこと
- 男性の医療事務で、家族を養えるのか(給料の現実とキャリアの広げ方)
結論から言うと、男性でも医療事務になれます。少数だからこそ活きる場面もある仕事です。 ただし採用されやすさは、病院の規模で差が出ます。
その理由を、採る側にいた経験も交えて書いていきます。
✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ
医療事務に男性は少ない。でも「いない」わけではない
率直に言うと、医療事務の現場で男性は少数派です。私が働いてきた総合病院でも、事務の男性は数えるほどでした。
ただ、これは「男性がなれない」という意味ではありません。少ないだけで、確かにいます。 私自身、男性の医療事務として10年以上続けてきました。
ポイントは、病院の規模で男性の割合が変わることです。
- 小規模な医院・診療所:女性スタッフ中心のところが多い
- 中〜大規模の病院:性別を問わず採用するところが増える
スタッフが少ない職場ほど、既存メンバーとの相性や雰囲気が重視されやすく、結果的に女性中心になりがちです。
一方で、大きな病院は人数が多く、夜間や救急の対応もあるため、男性の事務がいる割合が上がります。
「男性だから無理」ではなく、「どの規模の病院を狙うか」で変わる。 これが10年以上見てきた実感です。
元採用担当として、男性の応募をどう見ていたか
採用する側にいた3年間で、男性の応募書類も何度も見てきました。先に結論を言います。
男性であること自体が、不利になることはありませんでした。
私が見ていたのは、性別ではなく次のような点です。
- 長く続けてくれそうか(すぐ辞めない理由があるか)
- 算定やレセプトを覚える意欲があるか
- チームに自然に入れそうか
- 夜間や土日のシフトに入れるか
むしろ、長く働いてくれそうな男性は歓迎する場面もありました。 医療事務は離職が起きやすい職場なので、腰を据えて続けてくれる人は、性別を問わず貴重だからです。
ただし、本音を言えば、小規模な医院では「今いるメンバーと同じ雰囲気の人を」と考える院長や事務長もいて、男性が採られにくい現実はありました。
狙うなら、男性の前例がある中〜大規模の病院のほうが、応募のハードルは下がります。
男性だからこそ、役に立った場面
男性の医療事務として働く中で、「男性でよかった」と感じた場面が確かにありました。私の経験の範囲ですが、3つ挙げます。
① 強い口調の患者さんへの対応
受付では、ときに大きな声を出す方や、強い口調で詰めてくる方がいます。
そういう場面で、男性の私が対応に入ると、場が少し落ち着くことがありました。相手も冷静になりやすく、女性スタッフだけのときより穏やかに収まる場面が何度かありました。
② 夜間・救急の時間帯
24時間動いている病院では、夜間の受付対応があります。
体力的な負担が大きい時間帯に、男性の事務が配置されることもあります。夜勤帯のシフトに入れる人は、それだけで重宝されやすいです。
③ 力仕事や設備まわり
レセプトの紙の束を運んだり、備品や機材を動かしたり。細かいことですが、こうした場面で頼られることもありました。
どれも「男性しかできない」ことではありません。ただ、少数だからこそ、自分の立ち位置を作りやすい面はありました。
正直、きつかったこと
良いことばかりではありません。男性だからこそしんどかったことも、包み隠さず書きます。
| きつかったこと | どう乗り越えたか |
|---|---|
| 同性の先輩・相談相手がいない | 性別でなく「仕事ができる先輩」に聞くと割り切った |
| 「男なのに事務?」と見られる | 続けて実績を出すうちに、何も言われなくなった |
| 給料が上がりにくい | 算定の専門性とキャリアで、上げる方向を探した |
特に最初は、ロールモデルがいないことに迷いました。周りに男性の医療事務がいないと、「このまま続けていいのか」と不安になります。
ただ、続けるうちに気づいたのは、性別より「仕事で信頼されているか」のほうが、ずっと大事だったということです。
算定を任され、新人さんの教育も任されるようになると、男性かどうかは誰も気にしなくなりました。
男性の医療事務で、家族を養えるのか
ここが、男性にとって一番の不安だと思います。ありのままに書きます。
医療事務の給料は、決して高くありません。求人を見ると、月給は17〜20万円台のものも多くあります。「医療事務だけで余裕で稼げる」とは言えないのが現実です。
私自身、前職の総合病院では年収460万円、今のフルリモートの仕事では年収400万円です。世間の平均と比べて、特別高いわけではありません。
それでも、3人の子どもを育てながら、家族を養えています。 高給ではないけれど、生活は成り立つ。これが私の実感です。
そのうえで、男性が収入とキャリアを広げる方向は、いくつかあります。
| 広げ方 | 内容 |
|---|---|
| 算定・レセプトの専門性 | 入院や各種加算に強くなると、評価が上がりやすい |
| 管理・指導の役割 | チームのまとめ役・新人さんの教育を任される |
| フルリモートへ | 通勤コストと残業を減らし、手元に残るお金を増やす |
| 資格・スキル | メディカルクラークなどの現在受験できる資格と、算定・レセプトの実務経験で専門性を示す |
私の場合は、算定の経験を軸にフルリモートへ転職しました。年収は下がりましたが、通勤コストと残業が消えて、暮らしの満足度は上がりました。
給料の高さだけで選ぶ仕事ではありません。でも、専門性を積めば、男性が長く食べていける仕事です。
出世していたのに、年収を下げてフルリモートを選んだ話
「男性の医療事務は稼げないから働き方を変えた」という話ではありません。私の場合は逆でした。
総合病院では仕事に恵まれていて、任される仕事が年々増え、立場も給料も少しずつ上がっていました。
でも、生活は別でした。
- 朝6時に起きて、片道約50kmを高速で通勤
- 残業は月30時間ほど。多い月は70時間
- 帰宅は夜9時か10時。3人の子どもの起きている顔は、実質休みの日しか見られない
ある夜、仕事を終えて駐車場の車の中で、しばらく動けなくなりました。キャリアは順調なのに、生活が置き去りになっている。
その夜から転職活動を始めて、年収が下がるとわかっているフルリモートの医療事務を選びました。 前の章で書いた460万円から400万円への変化は、このときのものです。
決め手にした判断軸は3つあります。
- お金は「額」でなく「使える時間とセット」で見る:私の場合、高速代とガソリン代だけで月に約35,000円。時間もお金も、通勤に食われていました
- 「世間の安定」でなく「自分の生活が回るか」で決める:家計を紙に全部書き出して、下がった年収でも暮らしが成り立つと確認してから踏み切りました
- その働き方を「続けられるか」を最優先する:心や体をすり減らす働き方は、どこかで折れてしまいます
結果、残業ゼロ・通勤ゼロになり、子どもが寝る前に家にいられるようになりました。
外来と入院の算定で積んだ経験は、在宅になってもそのまま使えています。 働く場所が変わっても、積み上げた専門性は消えません。
フルリモートで実際に何が変わったかは、医療事務がフルリモートに転職して変わった10のことに詳しく書いています。
男性医療事務に向いている人・目指す人へ
最後に、男性で医療事務を目指すか迷っている場合の、判断材料をまとめます。
向いていると感じるのは、次のような人です。
- コツコツ続けるのが苦にならない
- 数字やルールを覚えるのが嫌いではない
- 人と接するのが極端に苦手ではない
- 給料より、働き方や安定を大事にしたい
もし目指すなら、まずは男性の前例がある中〜大規模の病院の求人を見てみるのがおすすめです。
求人を眺めるだけでも、「男性歓迎」「夜勤あり」といった、自分に合う職場の手がかりが見えてきます。
少数派でも、続ければ確かに居場所はできます。私がそうでした。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療事務に男性はどのくらいいますか?
正確な割合の統計は職場によりますが、現場の体感では男性は少数派です。ただし大きな病院ほど男性の事務は増える傾向があります。
Q. 男性は採用されにくいですか?
小規模な医院では女性中心の職場が多く採られにくい場面がある一方、中〜大規模の病院は性別を問わず採用するところが多く男性の前例もあります。狙う規模を選ぶことが大事です。
Q. 男性の医療事務で家族を養えますか?
給料は高くありませんが、生活は成り立ちます。私自身、年収400万円台で3人の子どもを育ててきました。算定の専門性やフルリモートなど、収入とキャリアを広げる方向もあります。
Q. 男性でも未経験から目指せますか?
未経験でも目指せる仕事です。未経験は性別に関係なく採用のハードルがありますが、まず対面の職場で経験を積めば、その後の選択肢が広がります。
Q. 周りに男性がいなくて不安です。続けられますか?
最初は私も不安でした。ただ、性別より「仕事で信頼されているか」のほうが、現場では重視されます。算定や対応を任されるようになれば、男性かどうかは気にされなくなるものです。
Q. 男性医療事務のキャリアはどう広げられますか?
算定・レセプトの専門性を深める、管理や指導の役割を担う、フルリモートに移る、資格で専門性を示す、といった方向があります。一つの病院に留まらず、経験を武器に動くこともできます。
Q. 年収を下げてまでフルリモートにした価値はありましたか?
私の場合は、ありました。額面は60万円下がりましたが、通勤コスト(月約35,000円)と残業がなくなり、平日に子どもと過ごす時間が戻りました。
お金だけでなく、時間も含めて比べるのがおすすめです。
Q. 男性がフルリモートの医療事務を目指すのは現実的ですか?
求人自体が少ないため簡単ではありませんが、実例はあります。私がそうでした。外来・入院の算定経験があると選択肢が広がります。
医療事務専門の転職サイトを中心に、根気よく探すのが現実的です。
まとめ
- 男性でも医療事務になれる。少数派だが、続けている人は確かにいる
- 採用は性別より「続けられるか・覚える意欲・シフト対応」で見られる。狙うなら中〜大規模の病院
- 給料は高くないが、専門性とキャリアの広げ方で、男性が長く食べていける仕事
- 出世コースだけが正解ではない。私は年収を下げてフルリモートを選び、家族との時間を取り戻した
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著者プロフィール
ゆう|医療事務10年以上・現フルリモート
3つの総合病院で医療事務を10年以上務め、うち1つの病院で元採用担当を3年経験しました。男性の医療事務として現場に立ち続け、現在はフルリモートで算定業務をしながら3人の子どもを育てています。「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
Instagram: @iryo_jimu
最終更新日:2026年7月11日