「電子処方箋にしたら、疑義照会が来た時の処理が分からなくなった」「薬局から連絡が来たけど、カルテとレセプト、どこを直せばいいの?」
電子処方箋が広がるにつれて、こういう戸惑いが受付やレセプト担当で増えています。

この疑問に、総合病院で医療事務10年以上、元採用担当3年の私がお答えします。
反映する場所を3つに分けて考えれば、混乱しません。

✅ この記事でわかること
- 電子処方箋の疑義照会で「変わること・変わらないこと」
- 医療事務が確認する3つの場所(カルテ・レセプト・電子処方箋管理サービス)の役割
- 疑義照会が来てから、何を・どの順で反映するか
- 処方箋料と一般名処方加算は、疑義照会でどうなるか(令和8年の点数つき)
- 「紙に切り替える時は?」など、場面別の対応フレーズ

結論から言うと、疑義照会が来た時に確認する場所は3つあり、医療事務が手を動かす中心はレセプトです。カルテは医師が記録し、電子処方箋管理サービスは書き換えません。この切り分けさえ頭にあれば、どこを直すかで迷わなくなりますよ。

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✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ

電子処方箋の疑義照会、変わること・変わらないこと

まず、大前提から。

疑義照会の流れ。薬局が処方に疑問を持つ→医師が確認して判断する→医療事務が取り次いでレセプトを合わせる。流れそのものは紙の時と変わらない

疑義照会そのものの流れは、紙の時と変わりません。
薬局が処方の内容に疑問を持ったら処方した医師に問い合わせ、医師が答えて、必要なら処方を変える。この順番は電子処方箋になっても同じです。

変わるのは、記録の残り方です。
紙なら、変更を処方箋に手書きしていました。
電子処方箋では、やりとりの結果がデータとして残ります。
薬局が実際に調剤した内容を、電子処方箋管理サービスに登録する仕組みだからです。

電子と紙の違い。紙の処方箋は変更を手書きで残す、電子処方箋はやりとりの結果がデータとして残る。手順そのものは変わらず記録がデータに置き換わるだけ

つまり、医療事務が押さえるのは1点だけ。
「手書きの修正」から「データでの記録」に置き換わった、ということ。
やりとりの相手も、手順も、これまでと同じままです。

💬 「電子処方箋になっても、疑義照会の流れそのものは変わりません。薬局からの照会を、先生に取り次ぐ。ここは今までと同じです」

医療事務が確認する3つの場所と、その役割

疑義照会が来た時、頭の中がこんがらがるのは、直す場所が複数あるから。
そこで、確認する場所を3つに分けます。

場所 医療事務の動き
① 診療録(カルテ) 医師に取り次ぐ(記録・修正は医師が基本)
② レセプト 実際に処方・交付した内容に合わせる
③ 電子処方箋管理サービス 医療機関側では書き換えない(薬局が調剤結果を登録)

反映先は3つ、手を動かすのは1つ。カルテは医師が記録、レセプトは医療事務が交付内容に合わせる、電子処方箋管理サービスは医療機関は触らない。事務が手を動かす中心はレセプト

この3つのうち、医療事務が手を動かす中心は、②のレセプトです。
①のカルテは医師が記録し、③は触りません。
直す場所が多いように見えても、自分が手を動かすのはレセプト、と置いておけば、電話を受けた時に最初の一手で迷いません。
カルテへの記録を代行入力する職場でも、動けるのは院内で決められた範囲まで。

順番に見ていきます。

① まず、医師に取り次ぐ(カルテは医師が記録)

処方の内容を変えるのは、医師です。
医療事務が薬の中身を判断することは、ありません。
ここは、はっきりしていますね。

薬局から疑義照会を受けたら、まず医師に取り次ぎます。
医師が変更に同意したら、その内容と理由が診療録に残ります。

ここで押さえたいのは、カルテを記録・修正するのは医師が基本という点です。
診療録の記載は、医師法でも医師の役割とされています。
医師事務作業補助者が代行入力する職場もありますが、その場合も医師が確認して確定します。
私がいた病院では、カルテの変更は医師がしていました。
一般の医療事務は、疑義照会を正しく取り次ぐところまで。
どこまでが自分の役割かは院内ルールで変わるので、先に確認しておくと迷わずにすみます。

💬 「先生、○○薬局から疑義照会です。△△の件、変更でよろしいでしょうか」

② レセプトは「実際に交付した内容」に合わせる

次に、レセプトです。
ここは、電子処方箋か紙かよりも、院内の運用によって扱いが分かれます

院外処方なら、医療機関が算定するのは処方箋料です。
疑義照会で薬が変わっても、電子処方箋を出し直す必要は、原則ありません。
医師が変更に同意した内容は、診療録に残ります。

レセコンでの細かい操作は、機種によって違います。
直し方に自信がない時は、自分で判断せず先輩に確認してください。
見るのは、実際に交付した処方箋の内容と、レセプトの記載がずれていないか。
確認するのは、この一点だけです。

③ 電子処方箋管理サービスは、書き換えない

3つ目は、あえて「やらないこと」です。

疑義照会で薬が変わっても、医療機関側が電子処方箋管理サービス上の発行済みデータを書き換えることはありません。
実際に調剤した内容は、薬局が調剤結果として登録します。
ここに医療機関が手を出す場面はありません。

「発行したデータも直さなきゃ」と焦って探し始めると、時間を取られます。
③は触らない。そう決めておくだけで、動きが軽くなりますよ。

よくある疑義照会でも、事務の動きは1つ

疑義照会の中身は、いくつかパターンがあります。
用量が多いのではないか、同じ効きめの薬が重なっていないか、飲み合わせは大丈夫か。薬局が確認したい点は、その時々で変わります。

照会の中身はいろいろでも動きは1つ。用量が多いのでは、同じ効きめの薬が重なっていない、飲み合わせは大丈夫といったどのパターンでも、医師に取り次ぐ、レセプトを交付内容に合わせるという流れは同じ

ただ、どのパターンでも、医療事務の動きは変わりません。
医師に取り次いで、レセプトを実際の交付内容に合わせる。
カルテの記録は、医師にゆだねる。
中身が何であっても、この流れは同じです。

だから、疑義照会の内容ごとに、対応を覚え直さなくて大丈夫。
「医師に取り次ぐ → レセプトを合わせる」を、そのまま当てはめれば足ります。

算定はどうなる?処方箋料と一般名処方加算

ここからは、算定の話。
受付だけを担当していると出番は少ないのですが、レセプトを見るようになると、疑義照会のあとで点数がどう動くのかを聞かれる場面が出てきます。

まず、点数から。
院外処方で医療機関が算定するのは、処方箋料(F400)。
令和8年の点数は、その他の場合で60点です。
7種類以上の内服薬などでは32点、特定の向精神薬の多剤投薬では20点と、区分で分かれます。

この「7種類以上」は、頓服や外用が混ざると数え方で迷います。
そこだけを1問ずつ確認できる処方箋料の確認ナビを用意しました。

処方箋料は3つに分かれる。1・2以外のふつうの処方は60点、内服薬が7種類以上などの場合は32点、抗不安薬などを決まった数以上の場合は20点。令和8年の点数

ここで押さえたいのは、処方箋料は「交付した処方箋」に対して算定するという考え方。
疑義照会で薬の中身が変わっても、算定した処方箋料が自動的に変わるわけではありません。
処方箋を出し直す必要も、原則ありません。

一般名処方加算は、交付した時の処方で決まる

新人さんがつまずきやすいのが、ここ。

後発医薬品のある薬を一般名で処方すると、一般名処方加算がつきます。
令和8年では、後発医薬品のある薬が2品目以上あって、そのすべてを一般名で処方した時が加算1で8点。
1品目でも一般名処方が含まれていれば、加算2で6点です。

つまり、後発医薬品のある薬が3品目あって、そのうち2品目だけを一般名にした場合、加算1にはなりません。
「2品目以上あるかどうか」ではなく「後発医薬品のある薬を、全部一般名で書いたかどうか」で分かれる。
ここは間違えやすいので、届出の有無とあわせて先輩に確認しておくと安心して算定できます。

一般名処方加算1と2の分かれ目。加算1は8点で後発医薬品のある薬が2品目以上ありそのすべてを一般名で処方した場合、加算2は6点で1品目でも一般名処方が含まれている場合。後発医薬品のある薬が3品目あって2品目だけ一般名なら加算2になる

そして、疑義照会をきっかけに、薬局で実際に出る銘柄が変わることがあります。
けれど、疑義照会の結果どの銘柄で調剤されたとしても、医療機関が算定する一般名処方加算は、処方箋を交付した時点の処方内容で決まります
「薬局で違う銘柄になったから、加算を取り下げる」という話ではありません。
ここ、迷いやすいところ。

なお、どの薬が一般名処方の対象かは一般名処方マスタで確認します。
このマスタは薬価改定や経過措置で随時更新され、品目が削除されることもあります。
対象は動くもの、と思っておく。算定の前にマスタを見る習慣をつけておくと安全です。

💬 「一般名で出した分は、加算の対象です。薬局さんで銘柄が変わっても、こちらの算定はそのままで大丈夫ですよ」

ここで挙げた点数は、令和8年時点のもの。
点数も要件も、改定のたびに動きます。
そのうえ算定の細かい判断は院内の運用でも違うので、迷った時は点数表の原文にあたって、先輩にも確認してくださいね。

疑義照会が来る前に、決めておくと楽なこと

疑義照会は、急に来ます。
電話を取ってから考え始めると、医師の居場所を探すところから始まって、そのあいだ薬局を待たせることになります。
先に決めておけるのは、この3つ。

  • 医師への確認ルート:診察中なら、どのタイミングで、誰を通して伝えるか
  • カルテ記録の担当と範囲:医療事務がどこまで代行入力していいか
  • レセコンの手順書の場所:疑義照会後の処理を、どの画面・どのファイルで確認するか

疑義照会が来る前に決めておくと楽なこと3つ。医師への確認ルートは診察中なら誰を通して伝えるか、カルテ記録の担当と範囲は医療事務がどこまで代行入力していいか、レセコンの手順書の場所は疑義照会のあとの処理をどこで確認するか

この3つが決まっていれば、電話を受けても動き出しが早い。
逆に、ここがあいまいなまま件数だけ増えると、そのたびに人に聞くことになります。
一度チームで整理しておくと、あとがずっと楽になりますよ。

受付・レセプトで気をつけたい3つの注意点

最後に、3つだけ。

  1. 処方の中身を決めるのは医師:医療事務は「確認して、取り次ぐ」まで。薬の適否を自分で判断しません
  2. カルテを直すのは医師が基本:診療録の記録・修正は医師の役割です。医療事務が代行できる範囲は院内ルールで決まっているので、自己判断で触りません
  3. レセプトの扱いは院内ルールが優先:この記事は全体像です。処方箋料や再交付の細かい扱いは、自院の運用とレセコンの手順を先輩に確認するのがいちばん確実です

よくある質問(FAQ)

Q. 疑義照会の結果、紙の処方箋に切り替える時はどうしますか?

医師の判断で紙に切り替える運用は、実際にあります。
その場合も、医師が変更の内容と理由をカルテに残す流れは同じです。
発行済みの電子処方箋をどう扱うか(取り消しが必要かどうか)はシステムの手順で決まっているので、自己判断せず院内の手順書に従ってください。
電子と紙のどちらで交付したかが分かるように残しておくと、あとで確認する時に役立ちます。

Q. 薬局から連絡が来たのに、医師にすぐ連絡がつかない時は?

診察中や手術中で、その場で取り次げないことはあります。
その時は、薬局名・患者さん・照会の内容・折り返しの連絡先を控えて、いつ頃なら確認できるかを薬局に伝えます。
自分で内容を判断して答えることだけは、しません。
取り次ぎ先の優先順位(担当医が不在なら誰に聞くか)は、院内であらかじめ決めておくと迷いません。

Q. カルテへの記録は、医療事務がしていいですか?

診療録の記載は、医師が行うのが原則です。
医療事務や医師事務作業補助者がどこまで代行入力できるかは、院内の委任範囲によります。
「自分が入力していい範囲はどこまでか」を、入職時か運用の変更時に確認しておくと安心です。

Q. 薬局が調剤結果を登録するまで、こちらは待つのですか?

医療機関側の対応(医師の確認とカルテの記録)は、薬局の登録を待たずに進めて問題ありません。
調剤結果の登録は薬局の役割です。
自院の記録と、実際に交付した内容がそろっていれば大丈夫です。

Q. レセコンの操作が分からない時は、どうすればいいですか?

まず、自院のレセコンの手引きや、先輩の運用に合わせてください。
機種によって操作が違うため、一律の手順はありません。
解決しない時は、レセコン会社のサポート窓口に、いつ・誰に・どう確認したかを残しながら問い合わせます。

Q. 重複投薬や飲み合わせのチェックで止まったのも、疑義照会ですか?

少し種類が違います。
電子処方箋では、医師が発行する時点で、重複投薬や飲み合わせをシステムがチェックする仕組みがあります。
これは発行前のチェックで、薬局からの疑義照会とは別のタイミングです。
発行時に止まった場合は、医師がその場で内容を確認して進めます。

Q. 電子処方箋にすると、疑義照会は減りますか?

減る面はあります。
発行の時点で、重複投薬や併用禁忌がシステムのチェックにかかるためです。
ただ、薬局が薬の内容を確認する場面がなくなるわけではありません。
発行前に気づける照会は減る、それ以外は残る。この感覚が、いちばん現場に近いところ。

Q. マイナ保険証と電子処方箋は、関係がありますか?

仕組みは別ですが、受付ではつながる場面も。
電子処方箋で過去の薬の情報を参照する時は、患者さんの同意を確認します。
その同意を取る画面が、マイナ保険証でのオンライン資格確認です。
ただ、マイナ保険証は必須ではありません。
マイナ保険証をお持ちでない患者さんは資格確認書で受付でき、電子処方箋も利用できます。
なお従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了し、期限切れの保険証を持参した場合の取り扱いも2026年7月31日で終わります。

まとめ|3つに分ければ、疑義照会は怖くない

  1. 確認する場所は3つ(カルテ・レセプト・電子処方箋管理サービス):医療事務が手を動かす中心はレセプト
  2. 順番は「医師に取り次ぐ → レセプトを交付内容に合わせる」:処方を決めるのもカルテを直すのも医師、事務は取り次ぎとレセプト
  3. 電子処方箋管理サービスは書き換えない:調剤結果の登録は薬局の役割

疑義照会が来たらこの順番。①医師に取り次ぐ→②レセプトを交付内容に合わせる。③電子処方箋管理サービスは触らない(薬局が調剤結果を登録)

電子処方箋の疑義照会でつまずくのは、直す場所が多く見えるからですよね。
場所を3つに分けて、自分が触るのはレセプトだけと決めておけば、薬局から電話が来た時に最初の一手で迷いません。
今日のうちに、医師への取り次ぎ先と、レセコンの手順書がどこにあるかだけ確認しておく。それで十分です。

算定やレセプトの「確認の順番」は、無料の受付で固まらない制度早見表PDFにもまとめています。

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■ 著者プロフィール
総合病院3院で医療事務10年以上、うち1院で元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年7月24日