「医療事務なんて、誰でもできるでしょ」と言われて、もやもやした人は多いはず。言い返せないまま、帰り道までひきずってしまいますよね。

私は3つの総合病院で、医療事務を10年以上やってきました。1つの病院では、採用にも3年かかわっています。

入る側も採る側も見てきたので、「誰でもできる」と言われる理由は、なんとなく分かる気がします。

「誰でもできる」と言われる理由は、入口の広さです

求人には、未経験可、無資格可の文字がよく並びます。入りやすいから、「誰でもできる」と言われがちです。理由の半分は、入口の広さ。

もう半分は、見える仕事が少ないこと。窓口で見えるのは受付と会計くらいで、レセプトの点検や算定は、患者さんから見えないところで進む仕事です。

返戻を防いだ、査定が減ったという成果も、外からは気づかれにくいです。

私も無資格で総合病院に入りました。入ること自体は難しくなかった。しんどかったのは、入ってから。

入ってまず大変だったのは、医療用語でした。聞き慣れない言葉がたくさんあって、覚えないと、仕事が進みません。最初の壁は、医療用語を覚えることでした。

見えにくい仕事を、業務名で言い換えてみる

「専門性がある」と思っていても、言葉にしないと相手には届きにくいです。受付や会計の裏で動いている仕事を、業務名に直してみます。

外から見える仕事 裏でやっていること
受付・会計・案内 保険資格の確認、公費の見落とし防止
カルテの準備・入力(電子カルテが中心。紙カルテの病院もあります) レセプト点検、算定の判断
電話対応 返戻や査定への対応、再請求
患者さんへの説明 制度をかみ砕いて、不安を減らす対応

受付で保険資格の確認を1つ飛ばしたとします。月末のレセプトで返戻になり、再請求の手間が出て、入金も遅れます。防ぐ場所のひとつが、窓口の確認です。

返戻や査定は、気をつけていても一度は来てしまいます。仕方ない部分もあります。だから来たあとに、次は来ないようにするには何を確認すればいいかを考えました。

返戻や査定を防ぐための項目をチェックリストに足して、スタッフに共有する。最後はチェックリストをもとにチェックツールにかけて、カルテとレセコンの内容が合っているか確認していました。

評価されやすい人は、何が違うか

面接や職場での様子を見ていて、評価されやすい人には共通点がありました。才能ではなく、日々の動き方でした。

確認を飛ばさず、調べてから聞く人。ミスが出たら原因を見て、次に変える人。自分の仕事を「返戻を減らすために、受付で保険資格を確認しています」と説明できる人です。

「がんばっています」だけだと、周りには何をがんばっているのか見えにくいです。業務名と数字で話すと、同じ仕事でも伝わり方が変わります。

新人さんの完成度は、見ていませんでした。確認する、素直に聞く、ミスのあとに立て直す。3つがそろっていれば、伸びる人だと判断していました。

言われた日の、自分への声かけ

言われた直後は、気持ちが揺れて当然です。私が大事にしたいことは、3つ。

  1. 「誰でもできる」と言う人は、仕事の中身を知らないことが多いです。自分の価値を評価されたわけではありません。
  2. 見えにくい仕事も、記録や小さな改善提案で、見える形にできるはずです。
  3. 専門性を示しても敬意が変わらない職場なら、自分の物さしで選び直してもいいと思います。

働き方を選び直した時に、いちばん欲しかったのは時間でした。片道1時間を通勤に費やしていて、通勤をなくしたくて、リモートを選びました。

残業がなくなったぶん、収入は下がりました。でも後悔はありません。納得して働けるほうが、毎日は軽くなりました。

給料の高さだけで決めなくてもいい、と私は思っています。

今日、1つだけやるなら

今日の仕事から、簡単にはまねできないと思うものを1つ選ぶ。

今やること今日やった仕事の中から、簡単にはまねできないと思うものを1つ、業務名で書き出す。

よくある質問(FAQ)

Q. 無資格・未経験でも、本当にできますか?

入ること自体はできます。私も無資格で入りました。続けて評価されるには、保険と算定の学びが要ります。入れることと、続けて評価されることは別です。

Q. 「誰でもできる」と言う院長の下で、働き続けるべきですか?

専門性を行動で示しても敬意が変わらないなら、職場を選び直す選択肢があります。給料だけでなく、働き方と敬意も含めて選ぶ判断軸が役立ちます。言い返さなくても大丈夫です。

心の中で、今日の自分の仕事を業務名で言い換えてみるだけでも、気持ちは軽くなります。

Q. 専門性は、どう伝えればいいですか?

「事務をやっています」ではなく、「レセプト点検で返戻を減らしています」のように、業務名で具体的に言うと伝わります。

Q. AIで医療事務はなくなりますか?

自動化される業務はあります。人の判断が残る業務もあります。くわしくは医療事務は将来なくなる?にまとめました。

Q. 新人さんのうちは、どうすればいいですか?

確認する、素直に聞く、ミスのあとに立て直す。3つを意識すれば十分です。

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■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つの病院で採用にも3年携わりました。
片道1時間の通勤を7年続けたのち、転職サービス経由でフルリモートへ。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年10月19日