この記事を書いた人

ゆう|医療事務10年以上 × 元採用担当(3年)
総合病院3院で勤務後、フルリモート医療事務へ転職。
前職では月の残業30時間、現職は残業0時間。元採用担当として面接で「残業の実態」を必ず説明してきた立場から書いています。

最終更新:2026年5月17日


この記事でわかること

  • 医療事務の残業の実態と業界平均
  • 残業が増える3つの原因(構造的・人員的・属人的)
  • 月末月初を生き残る5つの実践テクニック
  • 残業代の正しい計算方法と請求の判断軸
  • それでも残業が減らない時の選択肢4つ

医療事務の残業の実態

医療事務の残業は、「ある月とない月の差が極端」というのが正直なところです。

総合病院で10年以上、元採用担当として3年。多くの新人さんから「残業はどれくらいですか」と聞かれ続けてきました。

その答えは、いつも同じでした。

「月末月初の10日間は1日2〜3時間。それ以外は基本0〜1時間」

つまり、医療事務の残業は「月平均」で語ると誤解を生みます。実態は「月末月初に集中する」というのが、業界の構造です。

私自身の前職での残業

前職の総合病院では、月の残業30時間でした。

内訳は、月末月初の10日間で20時間、それ以外の20日で10時間。年間にすると360時間です。

労働基準法の「年360時間以内」という上限に張り付いていた、ということです。

通勤時間は片道50km、往復2時間。それを含めると、家を出てから帰るまで12〜14時間。子どもの寝顔しか見られない日が続きました。

これが、医療事務の残業の「リアル」です。

月の中の残業発生パターン(私の前職の目安)

医療事務の残業は、月のどこで発生しているのか。私自身の前職を1ヶ月で図示すると、こうなります。

期間 業務の中身 残業時間の目安
1日〜5日(月初レセプト) 請求送信・返戻対応 1日2〜3時間
6日〜20日(通常期) 受付・算定・電話 1日0〜30分
21日〜25日(前準備期) 病名整合・点検 1日0〜1時間
26日〜末日(月末レセプト) 当月分仕上げ 1日2〜3時間

「月平均で見るな、ピークで見ろ」というのが、面接で必ず伝えていた本音です。求人票の「月平均10時間」は、月末月初は連日21時退勤、それ以外は定時帰りの平均値かもしれません。

現職フルリモートでは残業0時間

転職してフルリモート医療事務になった今、残業は基本的に0時間です。

理由は3つです。

  • 通勤がない(朝の30分・夜の30分が浮く)
  • 業務がレセプト中心で時間管理しやすい
  • シフト制で残業前提の文化がない

働き方を変えただけで、月30時間あった残業が消えました。


残業が増える3つの原因

残業を減らすには、まず「なぜ残業が増えるか」を知る必要があります。

総合病院10年以上の経験で見えてきた、3つの原因を共有します。

原因① 構造的な原因(月末月初のレセプト集中)

医療事務の残業の8割は、月末月初の10日間に集中します。

理由はレセプト業務の構造です。

  • 月末:当月分の請求準備(点数チェック・病名整合・コメント追記)
  • 月初:保険者への請求送信(10日締め切り)

この10日間は、業務量が通常の1.5〜2倍に膨らみます。人を増やしても、業務の性質上、平日内に処理しきれません。

これは「個人の頑張りで減らせない残業」です。

原因② 人員的な原因(慢性的な人手不足)

医療事務の現場は、慢性的な人手不足です。

理由は、給与水準が業務難易度に対して低く、定着率が悪いからです。新人が1年以内に辞めると、その分を残ったメンバーで吸収することになります。

私自身、3年目の頃に同期が2人辞めた時期があり、その3ヶ月は残業が60時間を超えました。

これは「個人の頑張りで一時的に減らせるが、根本解決にならない残業」です。

原因③ 属人的な原因(業務効率の差)

3つ目は、個人の業務効率の差です。

新人と10年目では、同じ業務にかかる時間が3〜5倍違います。

  • 電子カルテの操作速度
  • 病名コードの記憶量
  • 例外パターンへの判断スピード
  • 先輩への質問の出し方

これは「個人の努力で減らせる残業」です。次の章で、減らすための実践テクニックを共有します。


月末月初を生き残る5つの実践テクニック

ここからは、月末月初の繁忙期を「気力で乗り切る」のではなく、「仕組みで乗り切る」ための実践テクニックです。

テクニック① 前月25日から準備を始める「先取りレセプト」

月末月初の残業を減らす最強の方法は、「月末を月末にしない」ことです。

具体的には、前月25日から以下を進めます。

  • 病名整合の事前チェック(変動の少ない慢性疾患患者から)
  • 算定ミスの自主点検(よく間違うパターン3つを毎月決めて見直し)
  • レセコメントの定型文整備(直前で書かなくて済むように)

これだけで、月末月初の業務量が2割減ります。

テクニック② 「3つに絞る朝のリスト」

朝の業務開始前、その日に「絶対終わらせる3つ」を紙に書き出します。

全部やろうとすると、朝の段階で心が折れます。3つに絞ることで、夕方に「終わらなかった」と思う回数が激減します。

私自身、新人時代に教わった習慣で、10年以上続けています。

テクニック③ 「迷ったら聞く」を1日3回までルール化

新人時代は、「迷ったら聞く」が大事です。

ただし、闇雲に聞くと先輩の機嫌を損ねる原因にもなります。「1日3回まで」と自分でルールを決めて、その3回を最重要な質問に絞ると、結果として業務スピードが上がります。

テクニック④ 「電子カルテ操作の自分用ショートカット集」

電子カルテの操作で時間がかかっている人は、自分用のショートカット集を作ってください。

具体例:

  • よく使う病名コード上位20の暗記
  • 算定ミスを起こしやすい組み合わせのメモ
  • 患者ごとの「医師の癖メモ」(〇〇医師は処方の書き方が独特、など)

A4 1枚にまとめて手元に置くだけで、新人時代の業務スピードは2倍になります。

テクニック⑤ 「定時で帰る日を週1で死守」

毎日残業すると、心身が削れていきます。

週1日だけでも「絶対定時で帰る日」を決めてください。私の場合は水曜日でした。

「水曜日は子どもの保育園のお迎え当番」という外部の予定を作ってしまうと、自分の意志に頼らず帰れます。


残業代の正しい計算方法と請求の判断軸

残業の話で必ず出てくるのが、「残業代がちゃんと出ているか」という疑問です。

ここからは、元採用担当として労務の現場も見てきた立場から、お伝えします。

残業代の基本ルール

労働基準法では、以下の通り定められています。

  • 1日8時間・週40時間を超える労働 → 25%以上の割増賃金
  • 22時〜5時の深夜労働 → 25%以上の割増賃金
  • 法定休日労働 → 35%以上の割増賃金

医療事務の場合、月末月初の残業はほぼ全てが「時間外労働」に該当します。割増率25%以上で計算されているか、給与明細で確認してください。

よくある残業代の未払いパターン

医療事務の現場で実際に見てきた、残業代の未払いパターンは以下3つです。

パターン① タイムカードの改ざん

「19時退勤」と記録されているが、実際は20時まで働いていた。

対策:自分のスマホで毎日の退勤時刻を記録(メモアプリで十分)。1ヶ月分溜まったら証拠になります。

パターン② 「サービス残業」の常態化

「みんな残業つけてないから」と先輩から言われ、申告しない文化が根付いている職場があります。

対策:自分1人が申告し続けると浮きますが、健康と生活を守るためにつけてください。職場が嫌な顔をする場合、その職場の労務管理は危険信号です。

パターン③ 固定残業代の上限超過

求人票に「固定残業代20時間分込み」とあった場合、20時間を超えた分は別途支給が義務です。

対策:給与明細の「基本給」「固定残業代」「超過分」を毎月確認。超過分が0円なのに毎月25時間以上残業しているなら、未払いの可能性が高いです。

残業代を請求するかの判断軸

残業代の未払いに気づいた時、請求するかどうかは慎重に判断してください。

状況 判断
在職中で関係性を壊したくない 退職後に労基署へ相談(時効2年)
退職予定・もう関係ない 在職中から記録を残し、退職時に請求
健康被害が出ている 即時に労基署または労務専門弁護士へ

請求の判断は、「金額」だけでなく「自分の人生のどこに時間を使いたいか」も含めて考えてください。


それでも残業が減らない時の選択肢4つ

ここまでのテクニックを実践しても、構造的な原因(人員不足・職場の文化)で残業が減らない場合があります。

その時の選択肢を、4つ整理します。

選択肢① シフト制の職場に変える

総合病院でも、シフト制を導入している病院はあります。

シフト制なら、業務時間内で完結する文化が根付いています。月末月初も「次のシフトに引き継ぐ」ことで、個人の残業が減ります。

選択肢② フルリモート医療事務に転職

電子カルテのクラウド化に伴い、算定業務を在宅で行うフルリモート求人が増えています。

私自身、転職サービス経由でフルリモート医療事務に転職しました。年収は60万円下がりましたが、残業30時間が0時間になりました。

詳しくは 医療事務 フルリモート 求人ガイド を参考にしてください。

選択肢③ クリニックへの転職

総合病院に比べ、クリニックは業務範囲が限定的なため、残業が少ない傾向があります。

ただし、院長次第で文化が大きく変わるため、面接時に「直近6ヶ月の月平均残業時間」を必ず聞いてください。

選択肢④ 異業種への転職

医療事務で培った事務スキルは、異業種でも評価されます。

特に一般事務・コールセンター・営業事務は、医療事務出身者の定着率が高い職種です。残業がない・少ない求人を選びやすくなります。


残業を減らした先に、何があるか

ここまで、医療事務の残業の実態・原因・減らし方・残業代・転職の選択肢を整理してきました。

最後に1つだけお伝えしたいのは、「残業を減らすことは、人生の主導権を取り戻すこと」だということです。

私自身、月30時間あった残業が0時間になって変わったのは、給与額だけではありませんでした。

  • 子どもの寝顔ではなく、起きている時間に会える
  • 家族の夕飯を一緒に食べられる
  • 自分の時間で勉強や趣味に使える
  • 「明日も働く意味」を感じられる

3年後・5年後、振り返ったときに「あの時、残業を減らす行動をとった自分は正しかった」と思える日が、必ず来ます。

その第一歩は、今日の朝のリストを「3つに絞る」ことから始まります。

なお、残業を理由に「辞めようか」と迷っている時は、医療事務をやめたい|9割の限界と判断軸 も合わせて読んでみてください。


残業時間と、私が手放したかったもの

残業30時間と聞くと、数字だけでは「ふつう」と感じる人もいるかもしれません。

ただ、私の場合、その30時間の裏には片道50kmの高速通勤がついていました。朝6時起き、6時半に家を出て、職場到着7時45分。19時退勤で家に着くのは21時、月末月初は23時。子どもの起きている顔を見られる日は、月の半分もありませんでした。

時給2,000円と仮定すれば、月の残業代は約6万円分。その6万円のために手放していたのは、子どもに「おかえり」と言ってもらえる時間、妻と夕食を一緒に取る時間、自分が好きなものに向き合うための気力。

「働くために生きる」から「生きるために働く」へ

医療事務という仕事は、月末月初の集中構造があるかぎり、誰かに皺寄せが行く仕事です。

その「誰か」が、自分なのか、家族なのか、未来の自分なのか。残業時間を見つめ直す時間は、その配分を考え直す時間でもあります。

私自身、フルリモートに転職して年収は60万円下がりました。それでも、子どもの「いってきます」を毎朝聞ける生活のほうを選びました。理由を一言にすれば、「お金は後で稼げるけれど、子どもが小学校にいる時間は二度と戻らない」と気づいたからです。

3年後の自分が、今の自分を見たらどう思うか

残業を減らす行動は、決して逃げではありません。

3年後の自分が、今の自分を見て「あの時、自分のために動いてくれてありがとう」と言える選び方をしてあげてください。残業を続ける選択も、減らす選択も、自分で選んだなら正解になります。

子育てと両立する観点では、医療事務と子育ての両立|3児パパの整え方 も合わせて読んでみてください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 医療事務の残業は、業界平均でどれくらいですか?

A. 業界の体感としては、月平均10〜20時間が多い印象です(出典:私が10年以上見てきた総合病院3院+面接で聞いてきた他院の状況からの目安)。ただし、職場により差が大きく、月40時間を超える職場もあります。求人票の「平均残業時間」だけでなく、面接で「月末月初のピーク時間」を必ず確認してください。

Q2. 残業代は必ず出ますか?

A. 法律上は必須ですが、現場では「サービス残業」が常態化している職場もあります。給与明細で「時間外手当」の欄が毎月計上されているか確認してください。0円が続くなら未払いの可能性があります。

Q3. 残業を理由に退職するのは、面接で不利になりますか?

A. 元採用担当として、不利にはなりません。むしろ「自分の働き方を主体的に考えている人」という評価につながります。ただし、伝え方は「より自分に合う働き方を求めて」のような前向き表現にしてください。

Q4. フルリモート医療事務は、本当に残業ゼロですか?

A. 私の現職では、月末月初を含めて残業0時間です。ただし、求人によりばらつきがあるため、面接時に必ず「月平均・月末月初の残業時間」を質問してください。

Q5. 残業を減らしたいけど、先輩が残っていると帰りにくいです。

A. 「水曜は子どもの予定」のような外部の予定を作ると、帰る理由が明確になります。最初の1〜2回は気まずいですが、3回続けると「あの人は水曜は帰る人」として定着します。

Q6. 月末月初だけ実家に泊まり込みで対応している場合、これは残業に含まれますか?

A. 含まれます。実家からの出勤も「労働時間」の対象です。タイムカードと実態が一致しているか確認してください。

Q7. 残業時間が月60時間を超えています。健康被害が出る前に何をすべきですか?

A. 産業医面談を申請してください(労安法上、月100時間超は強制)。同時に、転職活動を在職中に開始することを推奨します。健康を壊してからの転職は、選択肢が狭まります。

Q8. 残業代の時効はどれくらいですか?

A. 2020年4月以降の残業代は、時効5年(当面は3年)です。退職後でも請求可能ですが、証拠(タイムカードコピー・業務記録)は在職中に揃えておいてください。


まとめ

医療事務の残業は、構造的・人員的・属人的の3つの原因で発生します。

個人の努力で減らせる部分(属人的)と、減らせない部分(構造的)を分けて考えてみてください。

5つの実践テクニックで自分の業務効率を上げ、それでも減らない場合は4つの選択肢から働き方そのものを変えることも検討してください。

3年後・5年後、振り返ったときに「あの時の判断は、自分の人生にとって正しかった」と思える選び方をしてください。

💡 体系的に学びたい方へ:医療事務1ヶ月目しんどい新人さんへ|完全ガイド(¥1,980 Ver.2大幅改訂版)


関連記事


この記事を書いた人
ゆう|医療事務10年以上 × 元採用担当(3年)
総合病院3院で勤務後、フルリモート医療事務へ転職。
プロフィール詳細