「先輩によって、言うことが違う」「結局、どっちのやり方が正しいの?」経験者なのに、いまさら聞きにくいと感じている人も多いはずです。

この悩みに、総合病院で医療事務10年以上、元採用担当3年の私がお答えします。

✅ この記事でわかること
- 先輩によって言うことが違うのは、能力のせいではない理由
- 「どっちが正しい?」で消耗しないための考え方
- 言うことが食い違った時に、確かめる順番
- 角を立てずに確認する聞き方
- 経験者なのに聞けない…という時の抜け方

結論から言うと、
先輩で言うことが違う時は、「誰が正しいか」を決めようとしないことです。
人ではなく、点数表や通知、病院のルールという"根拠"に戻ると、その場で判断でき、板挟みにもなりません。

3つの総合病院をまわってきた私も、職場が変わるたびに「前の病院と言うことが違う」場面に何度もぶつかってきました。

✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ


先輩によって言うことが違うのは、能力のせいではありません

「Aさんはこう言ったのに、Bさんは違うことを言う」

医療事務を続けていると、たいてい一度は出会う場面です。
新人さんだけでなく、経験者が転職したときにも起こります。

私は3つの総合病院をまわってきました。
そのたびに感じたのは、同じ医療事務でも、病院が変われば"当たり前"が変わるということです。
前の病院では正解だった進め方が、次の病院では違うやり方になっていることは、めずらしくありませんでした。

だから、先輩で言うことが違って戸惑うのは、覚えが悪いからではありません。
医療事務という仕事が、もともと「人や場所で答えが分かれやすい」性質を持っているからです。

まずはそこを知っておくだけで、「自分だけ分かっていないのかな」という気持ちが、少し軽くなります。

なぜ、先輩で言うことが違うのか(3つの理由)

食い違いには、たいてい理由があります。
大きく分けると、次の3つです。

言うことが違う理由 起きていること
病院ごとのルール 同じ算定でも、運用のしかたが病院で決められている
改定の過渡期 改定の前後で、扱いが変わった直後に情報が混ざる
経験による解釈の幅 どこまで確認するか、判断のさじ加減が人で違う

① 病院ごとのローカルルールがある

診療報酬のルールは全国共通でも、その運用のしかたは、病院ごとに決められている部分があります

どこまでを医師に確認してから算定するか。
レセコンへの入力の順番。
どの書類をいつそろえるか。

こうした「やり方」は、病院の方針や過去の経緯で積み上がってきた背景があります。
だからAさんとBさんが別の病院で覚えてきた場合、言うことがずれることがあります。

転職した経験者が「前はこうだった」と言うと、「ここではこうです」と返される。
これは、どちらかが間違っているわけではなく、ローカルルールの違いであることが多いです。

② 改定の直後は、情報が混ざりやすい

診療報酬は、2年に一度の改定で見直されます。

改定の前後は、古い扱いと新しい扱いが、現場で一時的に混ざります。
先輩が改定前の感覚で話していたり、新しい通知をまだ確認していなかったり。

✏️ 私の経験から
改定のあとしばらくは、ベテランの先輩同士でも「それ、今回から変わったよね?」と確認し合う場面がありました。長くやっている人でも、改定の切り替わりでは迷います。

つまり、改定の時期に言うことが食い違うのは、むしろ自然なことです。
このときは、人の記憶より、新しい通知や点数表のほうが確かなよりどころになります。

③ どこまで確認するか、判断の幅がある

算定や受付対応には、「ここは確認が要る」「ここは流していい」という線引きがあります。
この線引きの感覚は、経験や立場によって少しずつ違うものです。

慎重な先輩は念のため確認を取り、手早い先輩は経験で進める。
どちらも仕事としては成り立つので、見ている新人さんからは「言うことが違う」と映ります。

医療事務で「どっちが正しい?」と消耗しないための考え方

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

先輩で言うことが違うとき、つい「どっちが正しいんだろう」と考えてしまいます。
でも、「誰が正しいか」を探そうとすると、人を比べることになり、板挟みで疲れてしまいます

おすすめしたいのは、人ではなく「根拠」に目を向けることです。

  • ❌ Aさんが正しいか、Bさんが正しいか
  • ✅ どこに、どう書いてあるか

点数表のこのページ、改定のこの通知、病院のこのマニュアル。
根拠まで戻れば、その場で判断できますし、あとから聞かれても説明できます。
「人」で考えると角が立ちますが、「根拠」で考えると、誰のことも否定せずにすみます。

私自身、迷ったときほど人の意見を並べるのをやめて、「これはどこに書いてあるんだろう」と確かめるようにしてきました。
そのほうが、結果的に早く、気持ちもラクでした。

言うことが食い違った時に、確かめる順番

では具体的に、どう確かめればいいのか。
私が現場でやっている順番を、5つにまとめます。

  1. 条件をそろえる:初診か再診か、算定日、年齢や保険、同じ月の算定など、前提を先に確認する
  2. 点数表と通知を見る:診療点数早見表を索引から引き、改定の通知や疑義解釈も確かめる
  3. 病院のルールを確認する:運用は病院で決まっていることがあるので、マニュアルや過去の取り決めを見る
  4. 詳しい人に、根拠ごと聞く:「ここまで確認しました」と伝えてから、迷っている点だけ聞く
  5. 決まった答えをメモに残す:根拠の場所もセットで残すと、次に迷わない

順番のポイントは、「人に聞く」を最初ではなく、4番目に置くことです。
先に自分で根拠を確かめておくと、聞かれた側も状況が見えて、答えやすくなります。

算定そのものの調べ方は、医療事務の算定が覚えられない…全部覚えずに乗り切る調べ方3つで、点数表の引き方や根拠メモの作り方まで詳しくまとめた別記事です。

算定を間違えると、レセプトが返戻で差し戻されたり、査定で減点されたりして、病院の収入にひびきます。だから「なんとなく多数決」で決めず、根拠を確かめることが大事です。

最終的なよりどころは、病院の方針と、正式な通知(厚生労働省や支払基金)になります。なお診療報酬の扱いは改定で変わるため、最新の点数表や通知で確かめるのが確実です。
迷ったら、まずそこまで戻れば、たいてい筋道が見えてきます。

角を立てずに確認する聞き方

根拠で考えると決めても、最後は人に聞く場面が来ます。
このとき、聞き方を少し変えるだけで、板挟みを避けられます。

「どっちが正しいですか」と人を比べない

いちばん避けたいのは、「AさんとBさん、どっちが正しいですか?」という聞き方です。
これは、聞かれた先輩を、もう一方と比べる形になってしまいます。

代わりに、こう聞くのがおすすめです。

この算定について、確認したいことがあります。
ここまでは調べたのですが、この部分の扱いで迷っています。
この病院では、どう運用していますか?

「人」ではなく「この病院でのやり方」を聞く形にすると、角が立ちません。
先輩も、自分が試されているのではなく、運用を教えればいいと分かるので、答えやすくなります。

確認したところまでを、先に伝える

丸投げで「どうすればいいですか」と聞くより、「ここまで確認しました」と添えるだけで、印象は大きく変わります。

確認フレーズの具体例は、医療事務の新人が5月から使える確認フレーズ7選に、場面別でまとめています。
そのまま使える言い回しを持っておくと、聞くハードルが下がるはずです。

医療事務の経験者なのに聞けない…という時の抜け方

転職した経験者の方から、よくこんな声を聞きます。

「経験者として入ったから、いまさら聞きにくい」
「そんなことも分からないのか、と思われそう」

その気持ちは、よく分かります。
でも、ここは立場を分けて考えてみてください。

「医療事務の経験」と「この病院のやり方」は、別のものです。
経験者でも、その病院のローカルルールを知らないのは当たり前です。
そこを確認するのは、能力の問題ではありません。

聞くときは、その前提を一言添えます。

前の職場とは運用が違うようなので、この病院でのやり方を確認させてください。

こう言えば、「経験を踏まえたうえで、この病院に合わせようとしている人」として伝わります。

💡 元採用担当の本音
採用する側で見ていて、安心できたのは「完璧に分かっている経験者」ではありませんでした。前の職場とのやり方の違いを、素直に確認できる人です。黙って自己流で進める経験者のほうが、あとで修正が大きくなりがちでした。

経験者だからこそ、「うちのやり方を確認したい」と言える。
それは、弱さではなく、現場に合わせる力です。

新人さんで「使えないと思われていないか」と不安な時は、医療事務で「使えない新人」と言われる人の共通点7つも、気持ちの整理に役立つかもしれません。

やってはいけない3つの対応

最後に、板挟みを大きくしてしまう対応を3つ、挙げておきます。

① 一方の先輩を否定する

「Bさんはこう言ってましたけど」と、片方を持ち出して否定する形になると、人間関係の角が立つ原因です。
根拠で確認する形に置きかえれば、誰のことも否定せずにすみます。

② 自己判断で押し通す

「たぶんこっちで合っている」で進めると、あとでレセプトが差し戻されたり(返戻)、減点されたり(査定)につながることがあります。
迷ったまま進めず、根拠を確かめてから動くほうが、結局は早いです。

③ 陰で愚痴だけで終わらせる

「言うことが違って困る」で止まってしまうと、次も同じ場面でつまずきます。
一度確かめて根拠メモに残しておけば、その場面は次から迷わずに済むはずです。

💡 人間関係のしんどさそのものが重い時は、有料note『医療事務1ヶ月目しんどい新人さんへ|完全版』で、最初の数か月の乗り越え方を章立てで解説しています。気持ちが限界に近い時の、ひとつの支えにしてもらえたらと思います。


よくある質問(FAQ)

Q. 先輩で言うことが違う時、結局どちらに従えばいいですか?

その場の正解は、人ではなく根拠で決めるのがおすすめです。
点数表や通知、病院のマニュアルを確かめて、それでも運用が分からなければ「この病院ではどうしていますか」と確認します。
どちらかの先輩に味方する形にしないことが、板挟みを避けるコツです。

Q. 確認すると「自分で考えて」と言われます。

自分なりの仮説を先に出してから聞くと、受け取られ方が変わってきます。
「ここまで調べて、Aだと思うのですが、合っていますか」のように、確認したところと自分の考えをセットで伝えると、丸投げにならずにすみます。

Q. 経験者なのに聞くのが、やっぱり恥ずかしいです。

「医療事務の経験」と「この病院のやり方」は別ものです。
前の職場と運用が違うのは当たり前なので、「この病院でのやり方を確認したい」と前置きすれば、自然に聞けます。
確認できる経験者は、現場でむしろ信頼されます。

Q. 改定のあとで、ベテランの先輩も間違えていることがあります。

改定の直後は、古い扱いと新しい扱いが混ざりやすい時期です。
長くやっている人でも、切り替わりのタイミングでは迷いが出ます。
このときは人の記憶より、新しい通知や最新の点数表を確かめるほうが確実です。

Q. 確認しても、はっきりした答えが出ない時は?

最終的なよりどころは、病院の方針と正式な通知(厚生労働省や支払基金)です。
そこまで戻っても判断が分かれる場合は、自己判断で進めず、責任者や算定担当に確認します。
「決められない」を抱え込まず、判断できる人に上げるのも、大切な動きです。

Q. 言うことが違う職場は、環境が悪いということですか?

施設ごとにやり方が違うのは自然なことなので、それだけで悪い職場とは言えません。
ただ、確認しても教えてもらえない、聞くと怒られるという状態が続くなら、それは環境の問題かもしれません。
人間関係のつらさが続く時は、医療事務の人間関係がしんどい時の考え方も読んでみてください。


まとめ

医療事務で先輩によって言うことが違う時の考え方を、3つに整理します。

  1. 言うことが違うのは能力のせいではなく、病院ごとのルール・改定・解釈の幅という理由があるから
  2. 「誰が正しい」で消耗せず、点数表・通知・病院のルールという"根拠"に戻る
  3. 角を立てない聞き方(人を比べない・確認したところを先に伝える)で、板挟みを避ける

先輩で言うことが違っても、自分が間違っているわけではありません。
人ではなく根拠に戻れば、その場で判断できて、気持ちもラクになります。
同じ場面で迷っている人の役に立てばうれしいです。

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■ 著者プロフィール
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つの病院で元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年6月20日