この記事を書いた人

ゆう|医療事務10年以上 × 元採用担当(3年)
総合病院3院で勤務後、フルリモート医療事務へ転職。
3院での勤務経験と元採用担当の視点から、看護師さんとの関係づくりに悩んできた経験をもとに書いています。

最終更新:2026年5月17日


この記事でわかること

  • 医療事務と看護師の「役割の違い」と摩擦が生まれる構造
  • やってはいけない3つの行動
  • 信頼を貯める7つの工夫
  • 看護師さんから「この人は大事」と思われる人の共通点
  • 関係改善が難しい職場の見極め方
  • 3年後・5年後、長く続けられた関係の作り方

医療事務と看護師の「役割の違い」と摩擦が生まれる構造

医療事務と看護師の関係は、構造的に摩擦が生まれやすいです。

総合病院10年以上、元採用担当3年。3院で見てきた中で、両者の摩擦は「人の問題」ではなく「役割の違い」が原因の8割でした。

構造的な違い

項目 医療事務 看護師
主役 制度・お金・記録 患者・命・治療
時間軸 月末月初に集中 24時間365日
評価される基準 正確さ・効率 安全・患者ケア
教育背景 医療事務専門・短期 看護学校・3〜4年
緊急対応 受付・記録の即応 命に関わる即応
給与レンジ 280〜450万円 380〜600万円

異なる軸で動いているため、互いの「当たり前」が違います。

摩擦が生まれる典型シーン

  • 月末月初の繁忙期、看護師さんからの算定依頼が遅れる
  • 患者さんの呼び出しで医療事務に苛立ちが向く
  • 残業時の優先順位の違い
  • 処方箋の不備で確認が必要な時の伝え方

これらは「個人の性格」ではなく「役割の摩擦」です。


やってはいけない3つの行動

元採用担当として、看護師さんから「あの人とは仕事しづらい」と相談を受けた医療事務に共通する3つの行動があります。

NG① 「自分の仕事じゃない」と言う

医療事務の仕事範囲は曖昧です。

「これは私の仕事ではない」を口にすると、関係性が一気に悪化します。

たとえ業務範囲外でも、「私の担当ではないので、〇〇さんに確認します」のように、つなぐ姿勢を見せてください。

NG② 看護師さんを「敵」として扱う

「看護師さんに嫌われている」「あの人が苦手」を、他のスタッフに広めない。

医療事務同士で看護師さんの悪口を共有すると、必ず本人の耳に入ります。
病院は狭い組織です。

NG③ 「忙しいオーラ」を出す

月末月初に「私は忙しいので後にしてください」のオーラを出すと、看護師さんは話しかけられなくなります。

結果、必要な情報共有が遅れ、ミスが増え、また摩擦が生まれる、という悪循環。


信頼を貯める7つの工夫

逆に、看護師さんから「この医療事務さんは大切」と思われている人には、共通する7つの工夫がありました。

工夫① 名前で呼ぶ

「看護師さん」ではなく「〇〇さん」と名前で呼ぶ。

たったこれだけで、関係性が変わります。

工夫② 「お疲れさまです」を1日3回

朝の挨拶、すれ違う時、退勤時。
意識的に3回声をかけてください。

挨拶を受ける側が「自分の存在を見てもらえている」と感じる効果は絶大です。

工夫③ 看護師さんの仕事の流れを理解しておく

  • バイタル測定の時間帯
  • 申し送りのタイミング
  • 検査・処置の入る曜日

これらを把握しているだけで、依頼するタイミングが変わります。

工夫④ 急ぎの確認は紙で

口頭での依頼は、看護師さんの記憶に残りません(彼女たちは同時に複数の業務を処理しています)。

メモ・付箋・専用ノートで、視覚化してください。

工夫⑤ 看護師さんのミスをカバーする

カルテの記載漏れ、算定情報の伝達ミスなどがあった時、「すみません、こちらで補正しました」と一言。

ミスを責めるのではなく、淡々と補正する姿勢が信頼を生みます。

工夫⑥ 患者さんへの対応を支える

看護師さんが患者さんとトラブルになっている時、受付側で「お話伺います」と引き取る。

患者対応の負担を分け合うと、看護師さんから「医療事務がいるから助かる」になります。

工夫⑦ 月末月初に「何か困っていることありませんか?」

繁忙期こそ、こちらから声をかける。

「自分が大変だから話しかけないで」ではなく、「同じく大変ですよね」の姿勢で。


看護師さんから「この人は大事」と思われる人の共通点

元採用担当として面接時に、看護師さんから推薦される医療事務がいました。

その共通点は3つです。

共通点① 「ありがとう」を一日に何度も言う

業務上のちょっとした手助けに、必ず「ありがとうございました」を言う。

回数の問題ではなく、「感謝を言葉にする習慣」が身についている人です。

共通点② 「すみません」を「ありがとう」に変換

「忙しい時にすみません」ではなく「お時間いただいてありがとうございます」。

ネガティブな言葉をポジティブに変換できる人は、好感度が高いです。

共通点③ 患者さんの情報を共有する

患者さんから受付で聞いた情報を、看護師さんに共有する。

「〇〇さんが、薬の副作用で困ってると言ってました」のような一言が、看護師さんの仕事を支えます。


1日の中で実際にやっていた「ちいさな積み重ね」

3院での体験から、私が意識的にやっていた「1日の流れの中での関係づくり」を、参考までに置いておきます。

時間帯 やっていたこと 効果(体感ですが)
朝(始業前) ナースステーション前を通る時に挨拶 「先に存在を知ってもらう」効果
午前外来中 算定で確認が必要な時、急がない件は付箋でまとめて渡す 看護師さんの作業を止めない
昼前 患者さんからの相談で看護師さん案件は受付で先に整理 「ちょっと聞きにくい」を減らす
午後 業務でカバーできたミスは黙って補正+短く一言 責めない姿勢が伝わる
終業前 お疲れさまでしたを目を見て言う 翌日のスタート印象がよくなる

特別なことは何もしていません。
ただ、「相手の時間を奪わない」「相手の存在を見ている」を、ちいさく繰り返していただけです。

新人時代にやってしまっていたNG例

恥ずかしながら、新人時代の私自身がやってしまっていた、関係を悪化させたNG例も挙げておきます。

NGだった行動 何が問題だったか
看護師さんが忙しそうな時に長い説明を始めた 相手の時間を奪っていた
「私の担当ではないので」を口癖にしていた つなぐ姿勢が見えなかった
看護師さん同士の雑談に余計な相づちを入れていた 距離感を測れていなかった
自分のミスを「すみません」だけで流していた 何を改善するかが伝わらない

全部、相手から指摘されたわけではなく、3院目で「やっと気づいた」ことばかりです。

役割の違いを一枚で整理しておく

新人さんに聞かれた時に、私がよく使っていた整理の仕方です。

視点 医療事務側の優先 看護師さん側の優先
患者さんが来た時 受付・保険証・問診票 バイタル・症状の聞き取り
急変があった時 周囲の患者さんの誘導と記録 救命対応そのもの
月末月初 レセプト・算定の正確さ 普段通りの患者対応
終業前 締め作業・翌日の準備 申し送り・記録

「優先する順番」が違うだけで、どちらが偉い・偉くないではない。
これを共有できているチームは、自然と摩擦が減ります。


関係改善が難しい職場の見極め方

ここまでの工夫を試しても改善しない場合、職場側の構造的問題かもしれません。

構造的問題のサイン

  • 看護師主導の文化が強すぎ、医療事務が下に見られる
  • 看護師の離職率が高く、毎月新しい人が来る
  • パワハラ・モラハラが常態化している
  • 上司が看護師サイドのみを擁護する

これらが当てはまる場合、転職を視野に入れる時期です。

詳しくは 医療事務をやめたい人へ|10年目が伝える3つの限界と判断軸 も参考にしてください。


3年後・5年後、長く続けられた関係の作り方

ここまで、構造的違い・NG行動3つ・信頼を貯める7つの工夫・職場の見極めを整理してきました。

最後に1つだけお伝えしたいのは、「看護師さんとの関係は、3年かけて作るもの」ということです。

私自身、3院で勤務してきた中で、最初の1年は必ず摩擦がありました。
2年目で慣れ、3年目で「あの医療事務さんがいてくれてよかった」と看護師さんから言われるようになりました。

3年後・5年後、振り返って「あの時、関係を諦めずに続けてよかった」と思える毎日を、今日からひとつずつ積み重ねてください。


関係づくりの土台にある「ちいさな安心」という考え方

ノウハウの話だけだと、どうしても「テクニックを使って好かれよう」のような印象になりがちです。
ここでは、ノウハウの一段下にある、私自身の考え方をちいさく置いておきます。

同じフロアにいる人が、明日も来やすい空気を作る

私が大事にしているのは、「明日もここに来やすい空気」を、自分の半径2メートルだけでも作ることです。

  • 朝、目を見て「おはようございます」
  • 名前で呼ぶ
  • 相手が忙しい時は、用件を一言で

特別なテクニックではありません。
ただ、新人時代の自分が、こういう先輩の存在にどれだけ救われたかを、覚えているからやっています。

「お互いに完璧じゃない」を前提に置く

医療事務も看護師さんも、人間です。
忙しい日は声が硬くなるし、家庭で何かあった日は表情が違います。

その日その日の相手の状態を、勝手にこちらが「キャラ」として固定しないことが大事だと感じています。

「昨日は素っ気なかったから、今日も嫌われてる」
ではなく、
「昨日は何かあったのかもしれない」と置いておく。

これだけで、自分のメンタルもかなり守れます。

「合わない人」とは、3メートル離れた共存でいい

3院で勤めてきた中で、最終的に「どうしても合わない看護師さん」も何人かいました。
無理に距離を縮めず、「業務連絡だけは絶対に丁寧に」を続けた結果、徐々に「業務上は信頼できる相手」というポジションに落ち着いたケースが何度もあります。

距離感 関係性
0メートル 一緒にお茶できる仲(職場ではレア)
1メートル ふだんから雑談ができる
2メートル 業務上の話はスムーズ
3メートル 業務連絡だけ。それでも十分回る

全員と1メートルの距離を狙う必要はありません。
3メートルの相手が職場の半分を占めていても、毎日は回っていきます。

しんどさを溜め込まないための逃げ道

それでも関係でしんどくなった夜は、自分の中の「逃げ道」を持っておいてほしいです。

私の場合は、車のハンドルを握って音楽を流しながら近所をぐるっと回る時間でした。
高速通勤を10年続けてきた身としては、車の中は「誰にも見られない自分の部屋」でした。

しんどさが続く時は、無理に関係を作りに行く前に、自分のメンタルを先に守ってください。
詳しい考え方は 医療事務のメンタル限界|10年現役の7ステップ回復法 を参考にしてみてください。

「もう関係づくり以前に、ここを辞めたい」というところまで来ている時は、医療事務をやめたい人へ|10年目が伝える3つの限界と判断軸 も合わせてどうぞ。


よくある質問(FAQ)

Q1. 看護師さんに嫌われている気がする時は?

A. まず「何が原因か」を冷静に分析してください。NG行動3つに該当していないかチェックしてから、信頼を貯める7つの工夫を始めてください。

Q2. 特定の看護師さんが苦手な場合は?

A. 全員と仲良くする必要はありません。最低限の業務連絡が滞らないように、丁寧に対応すれば十分です。

Q3. 看護師長に直接相談していい?

A. 看護師長は看護師サイドの代表です。医療事務サイドの上司(医事課長など)経由で間接的に伝える方が安全です。

Q4. パワハラを受けている時は?

A. 録音・記録を残し、産業医・労務に相談してください。それでも改善しない場合は転職を視野に。

Q5. 看護師さんから無視される時は?

A. 業務上の連絡が滞らないよう、メール・電子カルテ経由で文書化してください。記録に残る形で進めるとトラブル回避できます。

Q6. 男性医療事務でも看護師さんとの関係は同じですか?

A. 同じです。私自身、男性医療事務として10年以上、女性看護師中心の職場で続けてきました。NG3+工夫7は性別関係なく機能します。

Q7. 新人の時、看護師さんに何を聞けばいい?

A. 「看護師さんの仕事の流れを教えていただけますか」が最初の1問。仕事を理解する姿勢を示すと、関係性が良くなります。

Q8. 看護師さんに頼みごとをしづらい時は?

A. 「お時間いただける時で構いません」を必ず添えてください。相手のペースを尊重する姿勢が信頼につながります。


まとめ

医療事務と看護師の関係は、「役割の違い」を理解して接するだけで大きく変わります。

NG行動3つを避け、信頼を貯める7つの工夫を続けてください。

3年後・5年後、振り返って「あの時、関係づくりを諦めずに続けてよかった」と思える毎日を、今日からひとつずつ積み重ねてください。


💡 体系的に学びたい方へ:医療事務1ヶ月目しんどい新人さんへ|完全ガイド(¥1,980 Ver.2大幅改訂版)


この記事を書いた人
ゆう|医療事務10年以上 × 元採用担当(3年)
総合病院3院で勤務後、フルリモート医療事務へ転職。
プロフィール詳細 / 自己紹介note