結論:2026年8月から、高額療養費の月額上限が段階的に上がります。ただし、長く治療を続ける人への配慮は残されました。

この記事では、年収500万円・280万円・住民税非課税の3ケースで「いくら増えるのか」「得するのか損するのか」を、医療事務として総合病院の窓口で何度も計算してきた私が、実例ベースでやさしく整理します。

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📊 いくら上がる?(早わかり)
2026年8月の月額上限の引き上げ幅は、年収の区分でこう変わります。
- 年収約370〜770万円(最も多い区分ウ):月+約5,700円
- 年収約770〜1,160万円:月+約11,700円/年収約1,160万円超:月+約17,700円
- 年収〜約370万円:月+約3,900円/住民税非課税:月+約1,500円

一方で年間上限額が新設され、長期治療を続ける人は、むしろ負担が軽くなるケースもあります。くわしくは本文で順番に見ていきます。

📚 医療事務が選ぶ「お金まとめ」(保存推奨)
制度はそれぞれ独立しているようで、実は組み合わせて使えます。あわせて読むと、窓口での"知らずに損"がなくなるはずです。

この記事でわかること

  • 高額療養費って結局なに?(30秒で理解)
  • 自分の年収だと月いくら増えるのか(年収帯別シミュレーション)
  • 得する人・損する人の早見表
  • 改正前にやっておくべき「たった3つの準備
  • 医療事務の現場で実際にあった「知らなくて損した話」

💬 著者情報
ゆう|医療事務歴10年以上・元採用担当3年。総合病院で受付・会計・救急外来・入院担当を経験。現在はIT企業の医療事業部でフルリモート勤務(算定業務担当)です。窓口で高額療養費の計算・案内を何百件も担当してきた立場から、制度改正を現場目線で解説します。


まず30秒で理解|高額療養費って何?

ある日、ご家族が突然入院することになったとします。

10日間の入院、手術もあって医療費の総額は 100万円

窓口で「3割負担なので 30万円 お支払いください」と言われたら、ほとんどのご家庭で家計はガタガタになりますよね。

でも、実際にはそうはなりません。

なぜなら、日本には 高額療養費制度 があるからです。

💡 30秒でわかる高額療養費
ひと月(同じ月の1日〜末日)に支払う医療費の自己負担額に、所得に応じた上限が決まっています。それを超えた分は、あとから戻ってきます。

例えば、年収500万円の人が月100万円の医療費だった場合、自己負担は次のとおりです。

項目 金額
医療費総額(10割) 1,000,000円
窓口での3割負担 300,000円
高額療養費の自己負担上限 約87,430円
戻ってくる金額 約212,570円

つまり、30万円払ったように見えて、実際の負担は約9万円ということです。

年収500万円で医療費が月100万円の場合。窓口での3割負担は300,000円だが、実際の自己負担は約87,430円で、約212,570円があとから戻ってくる

💬 医療事務の現場から
月100万円の請求書を見て青ざめたご家族が、計算結果を聞いて少し肩の力を抜く瞬間。私は窓口で何度もその顔を見てきました。「日本の保険って本当によくできてるんですね」と言われることもよくあります。

申請・受け取りの方法は3つ

方法 タイミング 特徴
限度額適用認定証 入院前に申請 窓口で最初から上限額のみ支払い
マイナ保険証 その場で適用 オンライン資格確認対応の医療機関なら自動
還付申請(事後) 受診後 いったん3割払って、3〜4ヶ月後に返金

上限額の適用を受ける3つの方法。限度額適用認定証は入院前に申請して窓口で上限額だけ払う、マイナ保険証は受付で情報提供に同意すれば対応医療機関なら自動、還付申請はいったん3割払って3〜4ヶ月後に返金

入院や高額治療が見込まれる場合、マイナ保険証を窓口で使って情報提供に同意すれば、最初から上限額までの支払いで済みます。

オンライン資格確認に対応していない医療機関にかかる時や、マイナ保険証を使わない場合は、事前に限度額適用認定証を取っておくと家計のダメージが少なくて済みますよ。

⚠️ 対象外になる費用にご注意
差額ベッド代、入院時の食事代、保険適用外の診療費(先進医療や自由診療など)は、高額療養費制度の対象外です。これらは別途、自己負担となります。

高額療養費の対象外になる3つ。差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療や自由診療など保険がきかない診療

【現行】年収別 月の自己負担はいくらまで?

2026年7月までの自己負担の上限額は、所得によって5段階に分かれています。

区分 年収目安 月額の自己負担上限 多数回該当(4回目以降)
約1,160万円超 252,600円+(医療費−842,000円)×1% 140,100円
約770〜1,160万円 167,400円+(医療費−558,000円)×1% 93,000円
約370〜770万円 80,100円+(医療費−267,000円)×1% 44,400円
〜約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円

現行の年収別の月額上限。区分アは約1,160万円超で252,600円+(医療費−842,000円)×1%・多数回該当140,100円、イは約770〜1,160万円で167,400円+(医療費−558,000円)×1%・93,000円、ウは約370〜770万円で80,100円+(医療費−267,000円)×1%・44,400円、エは〜約370万円で57,600円・44,400円、オは住民税非課税で35,400円・24,600円

「多数回該当」って?

直近12ヶ月の間に、高額療養費を 3回以上もらった人 は、4回目以降から上限がさらに下がります

長く治療を続ける人への配慮として作られたしくみです。例えば抗がん剤治療やリウマチ治療など、毎月のように高額な医療費がかかるケースで威力を発揮します。

多数回該当のしくみ。1〜3回目は通常の上限、直近12ヶ月に3回もらうと4回目以降は上限が下がる

💬 窓口あるある
「先月も来たよね?」とご本人が言うときは、私は内心「お、これは多数回該当に当たりそう」と思いながら、過去の支給歴を確認します。該当する人ほど、知らないと損をする制度です。


【ここが今回のメイン】2026年8月、何が変わる?

2025年12月25日、厚生労働省の社会保障審議会で見直し方針が決まりました(法案の成立状況は文末のFAQ 1を参照)。変更は2段階の予定です。

🔵 第1段階:2026年8月

ポイントは2つです。

① 月額の上限額が一律アップ

5つの区分はそのままで、各区分の上限が引き上げられます。

区分 年収目安 引き上げ幅
約1,160万円超 +約17,700円
約770〜1,160万円 +約11,700円
約370〜770万円 +約5,700円
〜約370万円 +約3,900円
住民税非課税 +約1,500円

2026年8月からの引き上げ幅。区分アは+約17,700円、イは+約11,700円、ウは+約5,700円、エは+約3,900円、オは+約1,500円

特に多くの方が該当する区分ウ(年収約370〜770万円)では、基本部分が80,100円から85,800円に引き上げられます。

実際の上限額の計算式は 「85,800円+(総医療費−286,000円)×1%」 です。

例えば総医療費が100万円の場合:

85,800円 + (1,000,000円 − 286,000円) × 1% = 約92,940円

つまり、改正前と比べて 月あたり約5,500円の負担増 ということになります。

区分ウで総医療費100万円の月の比較。改正前は80,100円+(100万−267,000)×1%で約87,430円、2026年8月からは85,800円+(100万−286,000)×1%で約92,940円。差は約5,500円

② 年間の上限額が新設(朗報)

ここは 長期治療をする人には朗報 です。

これまで「月単位」でしか上限がありませんでした。毎月毎月、上限近くまで払い続けるということが起こりえました。

2026年8月からは、1年間(8月〜翌7月)でこれ以上は払わなくていい天井 ができます。

所得区分 年間上限額の目安
年収約370〜770万円(区分ウ) 年間 約53万円
住民税非課税世帯 年間 約29万円

年間上限額の新設。これまでは月ごとの上限だけで毎月払い続けることがあったが、2026年8月からは8月〜翌7月で天井ができる。区分ウは年間約53万円、住民税非課税は年間約29万円

区分ア・イや70歳以上の年間上限は、この記事の後半に置いた早見表PDFにまとめました。

💬 元採用担当・医療事務の本音
月額の上限は重くなるけど、年間の天井ができたのは大きな前進だと感じます。長期治療で家計が削られ続けるリスクが、ここで止まる設計です。

🟣 第2段階:2027年8月

ここから少し複雑になります。

70歳未満の所得区分が、5段階から13段階(課税12区分+住民税非課税1区分)に細分化 されます。

特に影響が大きいのが 年収約370〜770万円の中間所得層

これまで1つの区分(区分ウ)にまとめられていたのが、3つに分かれます

細分化後(2027年8月予定) 月額上限額の目安
年収約370〜510万円 据え置きの見込み
年収約510〜650万円 98,100円+(総医療費−327,000円)×1%
年収約650〜770万円 110,400円+(総医療費−368,000円)×1%

2027年8月に区分ウが3つに分かれる。年収約370〜510万円は据え置きの見込み、約510〜650万円は98,100円+(総医療費−327,000円)×1%、約650〜770万円は110,400円+(総医療費−368,000円)×1%

📌 補足|区分の数え方
厚労省資料では、住民税非課税を除く課税区分が12区分に細分化されます。70歳未満全体では、これに住民税非課税の1区分を足して13区分となります。本記事では、70歳未満全体を13区分として表記する形です。

※1%部分の基準額(医療費から差し引く金額)は今後の保険者資料の正式公表で確認してください。
※施行までに金額・区分の修正が入る可能性があります。

逆に、年収200万円未満の人 には朗報があります。

低所得層への配慮
年収200万円未満の人は、2027年8月から多数回該当の上限が 44,400円 → 34,500円 に引き下げられる予定。長期治療の負担が約1万円軽くなります。


【一番気になる】得する人・損する人 早見表

ここがこの記事のメインです。得する人・損する人、それぞれのケースを書きます。

🟢 得する人(負担が軽くなる人)

こんな方 何が良くなる?
年収200万円未満 で長期治療中の方 多数回該当が44,400円→34,500円に約1万円の負担減
長期治療を続けている方(多数回該当4回目以降) 月額上限は据え置き=実質負担増ナシ
長期で通院している方 年間上限額の新設で1年間の天井ができる
住民税非課税世帯 月額の引き上げは+約1,500円と最も小さく、年間上限29万円の頭打ちが効きやすい

負担が軽くなる人。年収200万円未満で長期治療の人は多数回該当が44,400円から34,500円へ、多数回該当4回目以降は月額据え置き、長く通院する人は年間上限で天井ができる、住民税非課税世帯は引き上げが+約1,500円で年間29万円の頭打ち

🔴 損する人(負担が増える人)

こんな方 何が増える?
単発で大きな入院・手術をする方(区分ウ) 月あたり約5,500円の負担増
年収約650〜770万円の中間所得層上位 2027年8月から月額3万円程度の負担増になる可能性
年収約1,160万円超の高所得層 月あたり約17,700円の負担増
入院前に認定証を取らなかった 最終的な負担は同じでも、3〜4ヶ月は3割全額を立て替える形になる

負担が増える人。単発の大きな入院・手術は区分ウで月約5,500円増、年収約650〜770万円は2027年8月から月3万円程度増の可能性、年収約1,160万円超は月約17,700円増、認定証を取らないと3〜4ヶ月は3割を立て替え

【実例】高額療養費の年収別シミュレーション3ケース

医療事務の窓口で実際によくある3つのケースを、改正前後で比較してみましょう。

📘 ケース1:Aさん(40代・年収500万円・10日間入院)

条件:医療費総額80万円、月単位の入院

改正前(〜2026年7月) 改正後(2026年8月〜)
80,100円+(800,000−267,000)×1% 85,800円+(800,000−286,000)×1%
= 約85,430円 = 約90,940円

結果:1回の入院で 約5,500円の負担増

💬 医療事務の現場から
区分ウは医療事務として日々一番計算する区分です。会社員の多くがここに該当するので、影響を受ける方が一番多い印象があります。

📗 ケース2:Bさん(30代・年収280万円・3ヶ月通院)

条件:抗がん剤治療で月15万円ずつ3ヶ月通院

改正前(〜2026年7月) 改正後(2026年8月〜)
月57,600円 × 3ヶ月 = 172,800円 月61,500円 × 3ヶ月 = 184,500円

結果:3ヶ月で 約11,700円の負担増

ただし、4ヶ月目以降は 多数回該当(月44,400円) が据え置きなので、それ以降の負担は変わりません。

📕 ケース3:Cさん(60代・住民税非課税・持病の治療で1年間通院)

条件:持病の治療で、毎月の自己負担が上限額に達する状態が1年続く(70歳未満の住民税非課税区分)

改正前 改正後
35,400円×3ヶ月+24,600円×9ヶ月 = 327,600円 36,900円×3ヶ月+24,600円×9ヶ月=332,100円。年間上限29万円で頭打ち = 290,000円

4ヶ月目からは多数回該当(月24,600円)に切り替わるので、そこも入れて計算しました。

結果:年間で 約3万8千円の負担減(年間上限額の新設効果)

3つのケースの結果。Aさん年収500万円で10日入院は約5,500円の負担増、Bさん年収280万円で3ヶ月通院は3ヶ月で約11,700円の負担増、Cさん住民税非課税で1年通院は年間で約3万8千円の負担減

💡 ここがポイント
「月額は上がるけど、長期で見ると軽くなる」というケースは、長期療養している人ほど多くなります。年間上限額の新設は、まさにこういう人への配慮です。

据え置き・新設・引き下げ項目まとめ(一覧表)

ここまでの内容を1枚にまとめると、こうなります。

項目 どうなる? 施行時期
月額上限額(5区分) 🔴 引き上げ 2026年8月
年間上限額 🟢 新設(朗報) 2026年8月
多数回該当(月額) 🟢 据え置き(負担増なし)
所得区分の細分化 🟡 5→13段階 2027年8月
年収200万円未満の多数回該当 🟢 引き下げ(朗報) 2027年8月

何が上がり何が据え置きか。月額上限額は2026年8月に引き上げ、年間上限額は同時に新設、多数回該当の月額は据え置き、所得区分は2027年8月に5から13段階へ、年収200万円未満の多数回該当は2027年8月に引き下げ

長期療養者・低所得者層への配慮は残された改正、というのが現場感覚ですね。


【誰でもできる】改正前にやっておきたい3つの準備

ここからは具体的な行動です。①と②は30分以内に終わります

① 限度額適用認定証を申請する

所要時間:30分

加入している保険者(協会けんぽ・健保組合・国民健康保険など)に申請するだけ。

📝 申請先の調べ方
- 会社員:資格確認書や資格情報のお知らせに書かれている「保険者」に電話、またはHPから申請
- 自営業:お住まいの市区町村の国民健康保険窓口へ
- 退職後:退職前の健保を最長2年続けられる「任意継続」を選んでいる場合は、その保険者へ

入院前に取得しておけば、窓口で最初から上限額のみの支払いで済みます。

② マイナ保険証を活用する

所要時間:5分

対応している医療機関なら、マイナ保険証の受付で「限度額情報の提供」に同意するだけで、認定証なしで限度額が適用 されます。事前の申請は不要です。

ただし注意点:すべての医療機関が対応しているわけではないため、入院が決まった時は念のため認定証も取っておくと安心です。

③ 医療費控除と併用する

所要時間:確定申告時に1時間

高額療養費で戻ってきた分は、医療費控除の計算から差し引きますね。

💡 計算式の例
(年間医療費 − 高額療養費で戻った金額 − 10万円)= 医療費控除の対象額
※総所得金額等が200万円未満なら、差し引くのは10万円ではなく総所得金額等の5%(国税庁)。

年間で医療費がかさんだ年は、両方の制度をセットで使うのが基本ですね。

改正の前にやっておく3つ。①限度額適用認定証を加入している保険者へ申請(30分)②マイナ保険証で受付の情報提供に同意(5分)③医療費控除と併用し戻った分は差し引いて計算(確定申告時に1時間)

💡 医療事務の現場から
入院時のご家族で「認定証を取り忘れた」というケースが、毎月のように発生 します。事前に申請するだけで、退院時の窓口負担が大幅に軽くなるのに、知らないだけで損をしている方が多すぎる、というのが現場の本音です。

【現場の本音】医療事務の窓口で実際にあった話

「えっ、こんなに戻ってくるんですか?」

ある日、ご主人が急性虫垂炎で手術・入院されたBさん(40代・年収400万円)1週間の入院で、医療費総額が約60万円。窓口での3割負担は18万円。

Bさんは認定証を取っていなかったため、その場での支払いは18万円でした。

3ヶ月後、Bさんから電話がありました。

「健保から9万円ちょっとの払戻通知が来たんですけど、これ何ですか?」

私は、これが高額療養費の還付ですと説明しました。この年収・医療費だと上限は約8万3,430円なので、払い戻しは約9万6千円です。Bさんは絶句した後、こう言いました。

「最初から認定証を取っておけば、8万円ちょっとで済んだってことですか?」

その通りです。一時的に約9万6千円を 3ヶ月間立て替えていた ことになります。

この話を、私は窓口で何度もしてきました。

知っているだけで、家計が守られる

認定証がなくても、上限を超えた分はあとから戻ります。差が出るのは、その数ヶ月をいくら立て替えるかというところです。

健康なうちに一度、ご家族と一緒に確認しておく。それが、改正に対して家計でできる 一番の備え ですね。


よくある質問(FAQ)

Q1. 改正は本当に確定したのですか?凍結される可能性は?

A. 2025年12月25日に厚生労働省の社会保障審議会で見直し方針が決定し、2026年度予算案にも反映されました。

2026年7月24日、健康保険法などの関連政令の改正が閣議決定されています

同じ日の大臣会見では「来月から自己負担の月額上限が引き上げられます」と説明されました。

2026年8月診療分からの実施は、この時点で決まった話です。

2025年3月に実施見合わせが表明された経緯のある制度なので、金額や施行時期の最終確認は、厚労省公式か加入している保険者でお願いします。

Q2. 自営業者(国民健康保険)も対象ですか?

A. はい。協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険すべての公的医療保険で、同様の改正が行われる予定です。

Q3. 年間上限額は1年間で必ず使い切るものですか?

A. いいえ。1年間(8月〜翌年7月)の医療費の自己負担総額が上限を超えた場合に、超えた分があとから払い戻されるしくみです。

使わなければ何も起きません。

Q4. 多数回該当は本当に据え置きですか?

A. 月額の多数回該当上限は据え置きとされています。むしろ年収200万円未満の層では2027年8月から引き下げ(負担減)の方向です。

Q5. マイナ保険証があれば限度額適用認定証は不要ですか?

A. オンライン資格確認に対応している医療機関では原則不要です。ただし住民税非課税世帯は、入院時の食事代を下げるために別の認定証が要る場合があるので、保険者に確認してください。

ただし、全ての医療機関が対応しているわけではないため、入院時は念のため認定証の取得も検討すると安心です。

Q6. 70歳以上の取り扱いはどうなりますか?

A. 70歳以上には別途、外来特例や所得区分が設けられています。今回の改正でも年代別の調整が入っているため、詳細は加入されている保険者に直接確認するのが確実です。

Q7. 「世帯合算」って何ですか?

A. 同じ月に同じ世帯(同じ健康保険に加入している方)で、それぞれ21,000円以上の医療費がかかった場合、合算して上限額の計算ができるしくみです。

例えば奥様が3万円、お子さんが2万5千円かかった月なら、どちらも21,000円を超えているので合算できます。

お子さんが2万円だった月は、21,000円に届かないので合算に入りません。

Q8. ボーナスで年収が変わる年は、どの区分?

A. 高額療養費の区分は その月の標準報酬月額(毎月の給与をもとに決まる、保険料計算の基準となる金額)で決まります。

一時的にボーナスで年収が変わっても、月々の給与に応じた区分で計算されます。

Q9. 同じ月に複数の病院や薬局にかかった場合は?

A. 70歳未満の場合、自己負担は受診者別・医療機関別・入院/通院別に分けて数え、21,000円以上のものだけを合算できます(協会けんぽ公式の基準)。

例えばA病院で3万円、B病院で2万5千円なら合算できます。なお処方箋で薬局に支払った分は、処方元の医療機関の分と合わせて数えます。

判断に迷う月は、加入している健康保険に問い合わせると確実ですよ。

まとめ|2026年8月の改正前にやっておきたいこと

  • 2026年8月:月額上限の引き上げ+年間上限額の新設(長期療養者には朗報)
  • 2027年8月:所得区分が5段階→13段階に細分化(課税12区分+非課税1区分。中間所得層上位は要注意)
  • 据え置き:多数回該当(長期療養者への配慮は維持)
  • 家計でできる備えは「認定証の申請・マイナ保険証・医療費控除の理解」の3点
  • 医療事務の現場感覚としては「重くなる部分と配慮が残った部分の両方がある」改正

健康なうちに、ご自身の年収帯と現行の限度額区分を一度確認しておく。それだけで、いざという時の家計ダメージは大きく減らせますよ。


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✏️ 著者プロフィール詳細
ゆう|総合病院で医療事務10年以上、元採用担当3年として多くの方の面接を担当。マネジメント経験あり。10年間、片道1時間の高速通勤を続けた後、転職サービス経由でフルリモート医療事務へ転換。現在は算定業務を担当する現役医療事務×3児の父。

最終更新日:2026年7月27日

情報ソース
- 厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)
- 厚生労働省 令和8年7月24日 大臣会見概要
- 厚生労働省 第209回社会保障審議会医療保険部会 資料(2025年12月25日)
- 厚生労働省 高額療養費制度ページ
- 厚生労働省 高額療養費制度の在り方に関する専門委員会
- 協会けんぽ 2026年4月版資料(PDF)
- FNN:健康保険法等改正案が衆院通過
- 日本経済新聞:高額療養費、自己負担の上限4〜38%引き上げ 患者配慮で改革縮む

本記事の数値は2026年7月27日時点の情報です。金額や区分は施行までに修正が入ることもあるため、最新の正確な金額・施行スケジュールは、厚生労働省公式または加入されている健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険でご確認ください。本記事は一般的な解説を目的としており、個別の医療費・税務のご相談は専門家にご確認ください。


最終更新日:2026年7月27日 金額や制度は改正で変わることがあります。最新の金額・施行時期は公式サイトでご確認ください。