「厚めの封筒が回ってきたけれど、9月から何をすればいいのか」
3年に一度の調査なので、前回の記憶もあいまいなまま9月に入ってしまう。そんな時期です。

3年に一度の調査を病院側で回してきた経験から、9月と10月にやることを順番に整理しますね。
やることの中心は1つだけなので、順番に見ていけば大丈夫ですよ。

この記事でわかること
- 対象になった施設が、9月と10月にやること
- 退院票を作らなくてよい人
- 主傷病名を、ひとりで決めずに進める順番
- 奇数票と偶数票の分け方(調査日のことではありません)
- 令和8年の変更2つ(3年前の控えを写すと番号がずれます)
- オンライン回答でつまずくところと、診療所・歯科の場合

結論から言うと、9月の作業は、9月中に退院した人の全員分の退院票です。1人の1回の退院につき、1枚。10月にもう1日だけ調査日がありますが、そちらは施設ごとに指定されています。

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0|まず、案内が届いているか確かめる

最初は作業ではありません。確認からです。

患者調査は、統計法にもとづく国の調査です。全国のすべての医療機関が対象になるわけではなく、抽出された施設にだけ、管轄の保健所から案内が届きます

対象は病院が約6,600施設、一般診療所が約5,900施設、歯科診療所が約1,600施設。許可病床500床以上の病院は毎回対象です。

つまり、届いていなければ今回は関係ありません。

届いていても現場まで回ってこないことがあります。ここがやっかい。案内は施設宛てに届くので、事務長や管理者のところで止まったまま、9月に入ってから知る。よくある流れです。

「患者調査の案内、うちに届いていますか。9月分から準備が必要なので確認させてください」

自分の施設の調査日や、どの調査票を使うかは、同封されている「調査へのご協力のお願い」に書いてあります。まずこの紙を探すところから。

時期 作る調査票
9月1日〜30日 この1か月に退院した人の退院票を、1人の1回の退院につき1枚
10月の指定された1日 入院と外来の票。病院は20日〜22日のうち1日、診療所・歯科診療所は20日・21日・23日のうち1日

1|9月にやることは、退院票

対象になった病院と有床診療所では、令和8年9月1日から30日までに退院した患者さん全員分の退院票を作ります。

無床の診療所と歯科診療所に、退院票はありません。

数え方は、1人の1回の退院につき1枚。9月中に2回退院した人がいれば、退院ごとに1枚ずつです。

含まれるものを見落としやすいので、並べておきますね。

  • 検査入院
  • 正常分娩
  • リハビリ、ショートステイ
  • 入院したその日に退院した人

「治療していないから対象外だろう」と判断せず、カルテに9月中の退院の記録がある人は全員と考えるほうが確実です。

退院票を1枚作るまでの早見表

順番 やること 確認する内容
1 対象者を出す レセプトの読み込みは下準備。カルテで9月の退院を確認する
2 作る人か確かめる 同じ傷病の転床と、健康上問題のない新生児は作らない
3 サマリーから下書き 退院時に入院の理由となっていた病態を1つ
4 まとめて確認をもらう 迷った分は主治医へ。略号は使わない
5 記入して控える 支払方法と病床の種別は、退院時のもの

ここが、9月の作業量を決めるところ。月末にまとめて始めると、退院した人数ぶんの紙が一度に積み上がります。9月に入ったら、退院した順に少しずつ処理していく形が無理のない進め方です。

2|退院票を作らない人がいます

全員分、と書きましたが、例外が2つあります。ここを知らないと、作らなくていい票を作ってしまいます。

1つ目は、同じ傷病で転床した人。

たとえば主傷病のために内科へ入院していた患者さんが、同じ傷病の手術のために外科へ移る。

事務の手続き上は内科の退院処理をしていても、同じ傷病による転床なら退院票は作りません

厚生労働省「令和8年患者調査 調査の手引【病院用】」の質疑応答 問17に書かれています。

反対に、入院時とは別の傷病で転床した場合。この時は転床の時点で1枚、実際に退院する時にもう1枚。9月中に2枚です。同じ手引の問52にあります。

2つ目は、健康上問題のない新生児。

疾患があって治療をした場合は作りますが、問題なく生まれて退院した新生児は対象になりません。

3|主傷病名は、ひとりで決めない

退院票でいちばん迷うのが、主傷病名です。

退院した患者さんの主傷病名は、退院時に入院の理由となっていた病態を1つ選びます。

複数の傷病がある患者さんについては、手引に「できるだけ主治医の確認をとる」と書かれています。医療事務が判断して書き切るものではありません。

とはいえ、9月の退院者が何百人の規模になると、1件ずつ医師に聞いて回る形にはならないはずです。現実的な順番はこうです。

  1. 退院サマリーを見て、事務側で下書きをする
  2. 判断に迷った分をまとめて、主治医に確認をもらう

「患者調査の主傷病名で、判断に迷った分をまとめました。お手すきの時に確認をお願いできますか」

書き方にも注意点があります。

  • LC、DM、MS、AMI、AAA などの略号は、できるだけ使わない
  • 発病の型、部位、性状、病因、重症度まで、可能な範囲で詳しく書く
  • 症状ではなく傷病名を書く

主傷病名に書き足せる観点の早見表

観点 書き足す内容
発病の型 急性・慢性、原発性・続発性
部位 傷病の部位
性状 病理組織型
病因 病原体名
重症度 ステージ

手書きの場合、読み違えられやすい字も決まっています。腎と胃、肝と肺、腫と膵、腹と腸、瘤と癌。手引がわざわざ挙げているところなので、ここは丁寧に。

なお、診療報酬が高い傷病名を主傷病名にするわけではありません。

手引の質疑応答 問48に、「患者調査では、必ずしも診療報酬の高い傷病名を主傷病名とはしておりません」とはっきり書かれています。

4|レセプトの読み込みだけでは漏れます

オンライン回答には、レセプトのデータを読み込む機能があります。「請求データがあるのだから、そこから作れないのか」と思うところですよね。

読み込みはできます。ただ、それだけでは対象者が漏れます。

自費診療の患者さんと、自動車損害賠償責任保険で支払われた患者さんのデータは、レセプトに含まれません。手引の質疑応答 問23に、病院では診療録から対象者を特定して、対象者リストを確認する必要がある、と書かれています。

DPCのデータも同じで、主傷病はそのまま使えません。DPC調査の主傷病は退院時サマリーの主傷病欄に書かれたもの、患者調査の主傷病は退院時に入院の原因となっていた病態。

定義が違うため、読み込みの項目に入っていません。問21のとおりです。

読み込みは下準備、と考えておくと安全です。

5|10月の調査日を、9月のうちに確認する

9月の退院票とは別に、入院患者と外来患者を調べる日が10月にあります。ただし1か月ではありません。指定された1日だけです。

  • 病院:10月20日から22日のうち、指定された1日
  • 診療所・歯科診療所:10月20日・21日・23日のうち、指定された1日

自分の施設がどの日かは、同封の「調査へのご協力のお願い」に書いてあります。全国一律の日ではないので、他院と同じだろうと考えないほうが確実です。

調査日は、その日の午前0時から24時まで。指定された日が休診日だったとしても、調査日は変更しません。救急で外来の患者さんを診た場合は、外来票を作ります。

調査日に外泊している入院患者さんも対象です。

10月の話ではありますが、確認だけは9月のうちに済ませておくと、当日に慌てずに済みます。

6|奇数票と偶数票は、調査日のことではありません

10月に使う調査票には(奇数)(偶数)という表示があります。手引がわざわざ注意書きを入れるほど、誤解されるところ。

調査日が20日か21日か、という意味ではありません。分けている基準は、患者さんの生年月日の末尾の数字です。

5月19日生まれなら末尾は9。1月20日生まれなら末尾は0。この数字と、許可病床の規模の組み合わせで、どちらの票を使うかが決まります。

  • 20床から499床:末尾が1・3・5・7・9なら(奇数)票、0・2・4・6・8なら(偶数)票
  • 500床から599床:末尾が1・3・5・7なら(奇数)票、0・2・4・6・8・9なら(偶数)票
  • 600床以上:末尾が3・5・7なら(奇数)票、0・1・2・4・6・8・9なら(偶数)票

病床が多いほど、(奇数)票の対象が絞られていきます。患者数の多い病院ほど、詳しく書く票の枚数が減る仕組みですね。

(偶数)票に書く項目は、性別と生年月日だけです。(奇数)票のほうが、記入する項目は多くなります。

入院と外来は同じ票を使い、票の上部にある「1 入院」「2 外来」を○で囲んで、別々に作ります。生年月日がはっきりしない患者さんは(偶数)票へ。

病床規模の判定は、調査日の時点です。

なお、9月の退院票に、この区分はありません。退院票は病床規模に関係なく、9月中に退院した人の全員分です。

7|3年前の控えを写さない

前回の調査は令和5年でした。控えが残っていると、それを見ながら書きたくなります。ここに落とし穴が1つ。

令和8年の調査票では、2か所が変わっています。どちらも、制度そのものが終わったことによる時点修正です。

1つ目は、診療費等支払方法。

「退職者医療」の選択肢がなくなりました。退職者医療制度は平成20年に廃止され、経過措置も令和6年3月31日で終了しています。

選択肢が1つ減ったことで、後ろの番号が1つずつ前へ動きました。前回の控えを見ながら番号だけを写すと、ずれます。

2つ目は、病床の種別。

前回は療養病床が「医療保険適用」と「介護保険適用」に分かれていましたが、令和8年は「療養病床」の1つにまとまりました。

介護保険が適用される療養病床は、令和6年3月31日で経過措置が終わっています。制度としてなくなったので、選択肢から外れました。

こちらは番号の繰り上がりではなく、選ぶ先が減った変更。性質が違うので、分けて覚えておくと混乱しません。

副傷病名の選択肢や、転帰・入院前の場所・退院後の行き先は、令和5年と同じでした。

8|オンラインで回答する時に、つまずくところ

回答方法は、オンラインのHTML形式かExcel形式、または郵送。CD-Rなどの電子媒体でも提出できます。オンラインを選ぶ場合、環境のところで止まることがあります。

対応している環境は、Windows 11のデスクトップモードと、macOS 26とSafari 26の組み合わせです。

Windowsのブラウザは、Firefox・Chrome・Edgeの最新版。

ただしExcel形式について、macOSの組み合わせには対応の記載がありません

Excel形式で回答するなら、Microsoft Office ExcelのMicrosoft 365、2024、2021のどれかが必要。ほかの表計算ソフトには対応していません。

Excel形式でつまずきやすい点を4つ。

  • マクロを有効にする必要があります。Microsoft 365やExcel 2024では、ActiveXコントロールが無効になっているとマクロも無効になることがあります
  • 院内の端末で仮想ブラウザが使われている場合、マクロが有効でも送信できないことがあります
  • ファイルの保存先は、デスクトップなどパソコンの中に。OneDriveやGoogleドライブに置くと、不具合が起きることがあります
  • 別のユーザーが作ったファイル、前回調査の調査票、XMLを直接編集したデータは、送信エラーの原因です

送信したあと、受付メールが届くまで10分ほどかかることがあります。届かないからといって、すぐに送り直さないほうが安全です。

ログインに5回以上失敗するとロックがかかりますが、10分から15分ほどで解除されますよ。

9|出す先と、期限

提出先は、管轄の保健所です。

期限は、保健所ごとに違います。患者調査規則が「都道府県知事の定める期限まで」と定めているためで、全国で同じ日ではありません。

厚生労働省の概要ページには「11月中旬以降の保健所の指定する日まで」とありますが、自分の施設の期限は届いた書類で確認します。

回答方法は、オンラインのHTML形式かExcel形式、または郵送。CD-Rなどの電子媒体でも提出できます。

1種類の調査票の中で、提出方法を混ぜないことが条件です。問20にあります。

問い合わせ先が2つに分かれている点にも、注意しておきたいところ。

  • コールセンター 0120-677-881:調査票の書き方など
  • 管轄の保健所:提出期限、調査票の不足

期限と用紙の追加は、コールセンターでは答えられない決まりです。

「患者調査の提出期限を確認したいのですが、こちらは保健所でお伺いする内容でしょうか」

診療所・歯科診療所の場合

ここまでは、病院を中心に書いてきました。診療所と歯科診療所は、やることが少なくなります。

有床の一般診療所は、9月中に退院した人の退院票と、10月の指定された1日の患者票。調査票は2種類で、奇数・偶数の区分はありません。

無床の一般診療所に、退院票はありません。10月の指定された1日の外来患者だけ。調査票は1種類です。

歯科診療所も、10月の指定された1日の外来患者だけです。

歯科診療所票に書く項目は、性別、生年月日、患者の住所、外来の種別、傷病名、診療費等支払方法。

病院票の「受療の状況」とは、項目の名前が違います。

有床の一般診療所は、全国で5,117施設。厚生労働省「医療施設動態調査」の令和7年12月末概数です。一般診療所全体の5%ほど。

9月の退院票の作業が出るのは、ほとんどが病院です。

よくある質問

Q. 9月に退院した患者さんが0人でした。提出は必要ですか。

入院患者・外来患者・退院患者のいずれもいなかった場合は、回答・提出は不要です。ただし黙って出さないのではなく、0人であることを保健所に連絡します

Q. 施設の移転で、9月中に一度すべての患者さんを退院させました。

事実上の退院ではないため、退院票は作りません。問6のとおりです。

Q. 9月中に退院して、同じ施設の中の介護医療院へ移りました。

病院からの退院なので、退院票を作ります。ただし介護医療院は患者調査の対象ではないので、介護医療院の入退院については作りません。問7にあります。

Q. 主たる傷病ではない病気で亡くなった場合、主傷病名はどちらですか。

死亡退院の場合は、主に治療していた傷病について記入します。問51のとおりです。

Q. 検査入院で、異常が見つかりませんでした。

検査入院になった理由の症状を書きます。「前立腺癌の疑い」「胸の痛み」「心電図の異常」のような書き方です。問33にあります。

Q. 退院した患者さんの支払方法や病床の種別は、いつの時点のものですか。

どちらも退院時のもので記入します。問55・問67にあります。

Q. 指定された10月の調査日が、休診日でした。

調査日は変更しません。救急などで外来の患者さんを診た場合は、外来票を作ります。問4のとおりです。

Q. 調査日に外泊している入院患者さんは、対象ですか。

対象です。問10にあります。

Q. 500床以上の病院は、毎回対象ですか。

対象です。500床以上の病院は悉皆調査といって、抽出ではなく全施設が対象。問9のとおりです。

Q. オンライン回答で、送信したあと間違いに気づきました。

Excel形式の場合、訂正がない調査票も含めてすべての調査票を再送信します。HTML形式は、個別の訂正でかまいません。

どちらの場合も、訂正したことを管轄の保健所へ伝えます。

9月に確認しておく手順

  1. 案内が届いているか。抽出された施設だけが対象で、事務長のところで止まっていることもあります
  2. 9月の退院は、全員分。1人の1回の退院につき1枚。同じ傷病の転床と、健康上問題のない新生児は作りません
  3. 10月の調査日と提出期限は、届いた書類で確認する。全国一律ではありません。奇数票と偶数票は、調査日ではなく患者さんの生年月日の末尾で分かれます

主傷病名は、ひとりで抱えなくて大丈夫です。手引が求めているのは主治医の確認で、その取り方までは決められていません。退院サマリーから下書きをして、迷った分をまとめて確認をもらう。

それも進め方の1つです。

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保険証・医療証まわりの基本は、無料の受付で固まらない制度早見表PDFにもまとめています。

参考にした資料

  • 厚生労働省「令和8年患者調査へのご協力をお願いします」(2026年8月28日確認)
  • 厚生労働省「患者調査(基幹統計) 調査の概要」(同)
  • 厚生労働省「令和8年患者調査 調査の手引【病院用】【一般診療所用】【歯科診療所用】」(同)
  • 厚生労働省「患者調査における『主傷病名』『副傷病名』の記入について」(同)
  • 厚生労働省「令和8年患者調査 オンライン調査に関するよくあるご質問」(同)
  • 厚生労働省「医療施設動態調査」(令和7年12月末概数・同)
  • 第30回 社会保障審議会統計分科会 議事録(2025年8月1日開催分)

■ 著者プロフィール
3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1院で元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年8月29日