結論:2026年の診療報酬改定は「分割施行」「物価対応料」「医療DX」が3大ポイントです。 4月1日の薬価改定と6月1日の診療報酬本体改定は別タイミング。物価対応料は患者対応のリスクがあり、医療DXは段階移行です。全部を完璧に理解する必要はない。要点だけ押さえて、走りながら覚えれば大丈夫です。

「2026年の改定資料、分厚すぎて読み切れない」
「物価対応料って何?患者さんに何て説明すれば?」
「医療DXの加算って、結局どう変わるの?」

正直に書きます。私もまだ全部は理解できていません。10年以上現場にいる人間でもそうです。それで大丈夫です。

この記事でわかること
- 2026年改定の施行スケジュール(4月/6月の二段階)
- 物価対応料の概要と窓口でのトラブル予防策
- 医療DX関連の加算の整理
- 数千ページの資料を効率的に読む方法
- 月別タスク表(4月・5月・6月・7月)
- 新人さんが最低限押さえる5項目
- 改定期に新人・中堅が押さえる優先順位
- 患者説明テンプレート集

⚠️ 本記事は2026年5月時点の公開情報をもとにしています。最終的な点数・要件は厚労省・支払基金の公式資料を必ずご確認ください。


2026年改定は「二段階施行」

まず最初に押さえてほしい安心材料です。2026年は薬価と診療報酬本体が別タイミングで施行されます。

施行日 内容
2026年4月1日 薬価改定(薬の値段の見直し)
2026年6月1日(予定) 診療報酬本体の改定(点数・要件の見直し)※施行日は厚労省告示で要確認

4月は「準備期間」と捉える

4月時点では、診療報酬の点数表そのものは大きく動きません。飲食店で言えば「仕入れ値段の変更」が先で、メニュー改定は2ヶ月後というイメージです。

4月にやるべきは「6月に向けた情報収集」と「院内の動線確認」です。点数を全部覚えようとするのは6月直前で間に合います。

6月施行に向けた逆算スケジュール

時期 やること
4月 厚労省「短冊」スライドで全体像を把握
5月前半 レセコンメーカーの説明会に参加
5月後半 院内マニュアル更新/患者向け掲示物準備
6月1日 施行・運用開始
6月末 初月レセプトで実運用チェック

月別タスクチェックリスト

新人・中堅でも迷わない、月別のやることリストです。

4月のタスク

  • [ ] 中医協「短冊」スライドをダウンロードして全体像を眺める
  • [ ] 薬価改定のリストを薬剤部門と共有
  • [ ] レセコンメーカーの改定説明会の日程確認
  • [ ] 自院の主要算定項目(よく使う点数トップ20)をリストアップ
  • [ ] 物価対応料の概要を医事課で共有

5月のタスク

  • [ ] レセコンメーカー説明会に参加(録音・資料保管)
  • [ ] 院内マニュアル更新(受付・会計・算定)
  • [ ] 患者向け掲示物(物価対応料の案内)を作成
  • [ ] 領収書のレイアウト変更を確認
  • [ ] 院長・医事課長と説明方針をすり合わせ
  • [ ] 5月末までに全スタッフへ説明会実施

6月のタスク

  • [ ] 6/1朝、システム切替確認
  • [ ] 受付・会計でクレーム想定問答を共有
  • [ ] 初週は手計算で検算(システムバグ早期発見)
  • [ ] 6月末のレセプト初提出に向けて返戻パターン確認

7月のタスク

  • [ ] 6月分レセプトの返戻分析
  • [ ] よくある返戻パターンをノートに記録
  • [ ] 院内マニュアルを実運用ベースで更新

物価対応料|窓口クレームの最大の原因

2026年改定の目玉の1つが「物価対応料」です。

物価対応料とは

物価高騰に対応するため、初診・再診時に点数の上乗せが行われる方向で報道されています。最終的な点数・金額・施行日は厚労省告示・中医協資料を必ずご確認ください。

⚠️ 本記事は2026年5月時点の公開情報をもとにしています。最終的な点数・要件は厚労省・支払基金の公式資料を必ずご確認ください。

患者さんからのクレーム想定

新しい料金が増える時、窓口がクレームの矢面に立ちます。レジ袋有料化の時と同じ構造です。国の方針でも、説明するのは現場の医療事務です。

想定クレーム 推奨フレーズ
「これ何の料金?」 「国の制度で6月から全国の医療機関で導入されたものです」
「事前に説明なかった」 「ご不便おかけしました。掲示物でご案内しております」
「うちは関係ない」 「全国一律のため、ご理解いただけますと幸いです」
「他の病院は取ってない」 「全国の保険医療機関共通の制度となっております」
「高くなった」 「物価高騰への対応として国が決めた点数です」
「払いたくない」 「保険診療上、ご負担いただく仕組みになっております」

院内でやっておくべき準備

  • 待合室・受付に事前ポスター掲示(5月後半から)
  • 会計時の口頭説明テンプレートを全員で統一
  • レセコンの領収書表記の確認
  • 院長・上司との説明方針のすり合わせ
  • 想定問答集を全スタッフに配布

クレーム対応の詳しいフレーズは 医療事務のクレーム対応|元採用担当が教える6段階フレーズ集とメンタルケア にまとめています。


医療DX関連の加算

2026年改定では医療DX関連の加算がさらに整理されます。

医療DX推進体制整備加算など複数の加算の理解

医療DX推進体制整備加算、電子的保健医療情報活用加算など、オンライン資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスを段階的に整備するための加算が複数存在します。スマホの料金プラン切り替えのようなイメージで、古いプランから新しいプランに段階移行していく形です(正式な加算名・要件は厚労省の最新告示で必ずご確認ください)。

関連項目 押さえどころ
マイナ保険証の利用率 加算要件に紐づく場合あり
電子処方箋の運用 段階導入。自院の対応時期を確認
電子カルテ情報共有 共有サービスへの参加要件を確認
医療情報の閲覧体制 患者の同意取得フローを整備

💬 元採用担当の本音
全部を医療事務が理解する必要はありません。レセコンメーカーの説明会で「うちは何を取れるか」を確認するのが最短ルートです。

マイナ保険証の運用ポイント

紙の保険証は2024年12月2日で新規発行が停止しており、最大1年間(2025年12月1日まで)の経過措置期間が設けられています。2026年以降はマイナ保険証または資格確認書が中心となります。受付実務は オンライン資格確認 超入門|マイナ保険証の受付フローを新人向けに解説 にまとめました。


数千ページの資料との付き合い方

正直、医療事務が改定資料を全文読む必要はありません

読むべき優先順位

優先度 資料 用途
★★★ 厚労省「短冊」スライド 全体像の把握
★★★ レセコンメーカーの改定資料 自院の実務対応
★★ 医療事務専門誌(月刊保険診療等) 解説の理解
厚労省告示・通知の原本 辞書として参照

「短冊」スライドの探し方

厚労省「中央社会保険医療協議会(中医協)」の議事資料にスライド形式の要約があります。検索キーワード:「中医協 総会 資料 2026年改定」

参考:
- 厚生労働省 中央社会保険医療協議会
- 社会保険診療報酬支払基金
- 国民健康保険中央会

真面目さでパンクしないために

新人の方ほど「全部理解しなきゃ」と思いがちです。10年以上の私でも全部は読みません。「困った時に辞書として引く」くらいで十分です。


新人さんが最低限押さえる5項目

1年目・2年目の新人さんが、まずこれだけ覚えれば改定を乗り切れる5項目です。

# 項目 内容
施行日 4月1日=薬価/6月1日(予定)=本体
物価対応料 初診・再診で上乗せ予定。患者説明フレーズを暗記
マイナ保険証 資格確認書との見分け方を体に染み込ませる
レセコンの新画面 6月以降の入力画面に慣れる(説明会で習う)
返戻ノート 6月以降の返戻パターンをノートに残す

「全部理解しろ」と言われたら無理です。でも、この5つを押さえておけば、現場で困った時に先輩に質問できます。「わからない」と言える勇気が一番大事だと、10年以上見てきて思います。


新人・中堅・ベテラン別の優先順位

役割によって押さえるべきポイントが違います。

新人(1〜2年目)

  • 物価対応料の患者説明フレーズを暗記
  • マイナ保険証の受付フローを体に染み込ませる
  • レセコンの新画面に慣れる
  • 上記の「最低限5項目」を完走

中堅(3〜5年目)

  • 担当診療科の算定要件の変更点を整理
  • 院内マニュアル更新に参加
  • 新人への共有役
  • 月次の返戻パターン分析

ベテラン

  • レセコンメーカー説明会の院代表参加
  • 院長・経営層への収益影響レポート
  • 改定後3ヶ月のレセプト返戻パターン分析
  • 院内研修の講師役

改定期のセルフケア

3月〜6月は医療事務の年間で最もハードな時期です。10年以上の経験から、自分を守るコツも共有します。

場面 コツ
残業が増えてきた時 「6月末まで」と期限を意識。永遠ではない
わからない不安 「全部わからなくて当然」と言語化して書く
患者クレーム連発 「制度の説明係」と割り切る。個人攻撃ではない
同僚との温度差 自分のペースを優先。比較しない
帰宅後の引きずり 湯船・運動・睡眠の3点セットを死守

3児の父をしながら算定業務をフルリモートでこなしている今でも、改定期は気が張ります。「みんなしんどい時期」と知っておくだけで、孤独感は減ります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 改定後すぐにレセプトでミスが増えそうで不安です

6月の初月は誰でも返戻が増えます。返戻パターンを記録ノートに残すだけで、翌月以降のミスが激減します。1人で抱え込まず、チームで共有してください。

Q2. 物価対応料を「なぜ今?」と聞かれた時、何と答えるべき?

国の方針で全国一律導入」と中立的に伝えるのが最も角が立ちません。個人の意見は出さず、政策として説明するのがプロの対応です。

Q3. 医療DX関連で取れる加算をどう判断すれば?

医療事務単独で判断する範囲を超えます。レセコンメーカー+院長+医事課長の3者で確認してください。施設基準の届出が必要なものも多いです。

Q4. 改定資料は紙で読むべきですか?電子で読むべきですか?

短冊は電子でOK、辞書として使う原本は紙が便利という使い分けがおすすめです。原本を全部紙にすると圧倒されます。

Q5. 改定対応で残業が増えそうで心配です

5月の準備を計画的に進めれば、6月の残業は最小化できます。4月のうちにスケジュールを引くのが最大のコツです。

Q6. 改定の不安が強くて転職も考えています

改定対応は3〜4月で一番ストレスが強くなります。即断は避け、6月施行後の自分の感覚で判断してください。フルリモート医療事務に転職した経験は 医療事務のフルリモート求人は本当にあるのか元採用担当が解説 にあります。

Q7. 改定後にレセコンが追いつかないケースは?

過去の改定でも初月はメーカー側のシステム調整が遅れることがあります。手計算で検算する習慣を月初に1日だけでも入れておくと、ミスを早期発見できます。

Q8. ベテランでもまだ理解しきれていないと知って安心しました

実際そうです。改定の全容を3月時点で完璧に把握している医療事務は、ほぼいません。わかる人と一緒に走りながら学ぶで正解です。

Q9. 院内マニュアル更新は誰がやるべきですか?

医事課長+ベテラン+中堅の3層で分担するのが理想です。新人を巻き込むと、更新作業そのものが研修になります。

Q10. レセコンメーカーが複数候補ある場合、どう選びますか?

改定対応のスピード・サポート体制・現場の使いやすさの3点で評価してください。改定期は特に「電話が繋がるか」が命綱になります。


まとめ|改定は「全部理解しなくていい」

2026年改定で医療事務が押さえるべきは3つです。

  1. 施行は二段階(4月薬価/6月本体)
  2. 物価対応料は窓口対応の準備が最優先
  3. 医療DXはレセコンメーカーと連動して理解
  4. 新人さんは「最低限5項目」だけ押さえれば乗り切れる
  5. 3月〜6月のセルフケアは湯船・運動・睡眠の3点セット

完璧を目指さず、短冊→メーカー資料→現場運用の順に攻略していけば、6月施行に十分間に合います。10年以上現場にいる私もまだ全部は理解できていませんが、それで現場は回ります。


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✏️ 著者プロフィール
ゆう|総合病院で医療事務10年以上。うち3年間は元採用担当として多くの方を面接。現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信中。
Instagram: @iryo_jimu

最終更新日:2026年5月17日