この記事を書いた人

ゆう|医療事務10年以上 × 元採用担当(3年)
総合病院3院で勤務後、フルリモート医療事務へ転職。3児の父。
辞めた後の選択肢を、自分自身がフルリモートへ移った体験と、元採用担当として相談を受けてきた多くの事例から書いています。

最終更新:2026年5月17日


この記事でわかること

  • 医療事務を辞めた後の選択肢4つ(フルリモート・他院・異業種・休職)
  • 各選択肢の年収相場・難易度・必要な準備
  • 元採用担当として見てきた「成功した人」「うまくいかなかった人」の違い
  • 自分に合う選択肢の判定フロー
  • 辞めた後の生活設計(手取り・税金・健康保険)

医療事務を辞めた後の選択肢4つ

「辞めたい」と思っても、次の選択肢が見えていないと不安が膨らみます。

総合病院10年以上、元採用担当3年。退職相談を受けた多くの同僚・後輩の事例から、選択肢を4つに整理します。

選択肢の全体像

選択肢 年収相場 難易度 必要準備
① フルリモート医療事務 350〜450万円 中(求人少ない) 2〜3ヶ月
② 他院への転職(クリニック/総合病院) 280〜430万円 1〜2ヶ月
③ 異業種転職(事務職) 300〜400万円 3〜6ヶ月
④ 休職してから判断 給与の2/3(傷病手当) 即時

選択肢① フルリモート医療事務

私自身が選んだ選択肢です。

電子カルテのクラウド化に伴い、算定業務を在宅で行うフルリモート求人が増えています。

私の実例

  • 前職:総合病院(通勤片道50km・残業月30時間)年収460万円
  • 現職:クラウド対応の医療機関(フルリモート・残業0時間)年収400万円
  • 差し引き:年収マイナス60万円、月の自由時間プラス約110時間

通勤コストを差し引いた実質手取り

私の場合、通勤費は会社支給ではなく自腹に近い実費負担でした。前職の月間コストは次の通りです。

項目 金額(私の場合)
高速代 1,200円 × 往復 × 月20日 = 月48,000円
ガソリン代 1回7,000円 × 月4回 = 月28,000円
オイル・整備費(年36,000円) 月3,000円
合計 月79,000円(年947,000円)

会社支給分を差し引いても、月3〜4万円の自己負担が残っていました。年収60万円減の現職でも、通勤費が浮く分で実質手取りは年20〜30万円ダウン程度。さらに、往復2時間の通勤がゼロになった分の機会損失(仮に時給2,000円として年96万円相当)を加味すると、家計と時間の総合バランスではプラスです。

メリット

  • 通勤ゼロ(往復2時間が浮く)
  • 残業ゼロが基本
  • 家族との時間が増える
  • 場所を選ばず働ける

デメリット

  • 求人数がまだ限られる
  • 経験者向け(未経験は厳しい)
  • 1人で完結する仕事が中心(同僚との交流少ない)

向いている人

  • 通勤に消耗している人
  • 家庭との両立を最優先したい人
  • 自走できる経験者(3年以上)

詳しくは 医療事務のフルリモート求人事情 を参考にしてください。


選択肢② 他院への転職(クリニックまたは別の総合病院)

「職場は嫌だけど仕事自体は嫌じゃない」場合、最も現実的な選択肢です。

比較表

比較項目 クリニック 総合病院
給与 280〜380万円 350〜450万円
業務範囲 限定的・専門化 広い
人間関係 少人数で濃密 大規模で分散
残業 院長次第 月末月初に集中
教育体制 院長依存 体系的
休日 平日固定 シフト制(土日交代)

元採用担当の本音

クリニックは「院長との相性」で全てが決まります。面接で必ず院長と直接話せる職場を選んでください。

総合病院は「ローテーション制度」がある職場を選ぶと、苦手な部署からも抜け出せます。

向いている人

  • クリニック:少人数で深く関わりたい・残業が嫌
  • 総合病院:業務範囲を広げたい・教育を受けたい

選択肢③ 異業種転職(事務職全般)

医療事務で培った事務スキルは、異業種でも評価されます。

親和性が高い異業種

業種 親和性 年収相場
一般事務(中小企業) 280〜380万円
コールセンター 300〜400万円
営業事務 320〜420万円
経理事務 △(要簿記) 350〜450万円
IT事務(バックオフィス) △(要PC) 380〜480万円

元採用担当の本音

「コールセンター」と「一般事務(中小企業)」は、医療事務出身者の定着率が高い職種です。

理由は2つ:
1. クレーム対応のスキルが直接活きる
2. 「正確さ」が評価されやすい

逆に、営業事務・経理は「数字の責任」が重く、医療事務とは別のストレスがあります。

向いている人

  • 業界そのものに疲れた人
  • 全く新しい環境で再スタートしたい人
  • 通勤・残業の条件を大幅に変えたい人

選択肢④ 休職してから判断

健康被害が出ている場合、いきなり辞めるより休職から始めるのが安全です。

休職制度の活用

傷病手当金(健康保険)
- 支給額:給与の約3分の2
- 期間:最長1年6ヶ月
- 申請:医師の診断書必要

休職期間中にやるべきこと

  1. 心身の回復(1〜2ヶ月は完全休養)
  2. 病院への定期通院
  3. 回復後にキャリア相談(転職サイト無料相談など)

向いている人

  • 健康被害が出ている人
  • 即決で辞めて後悔したくない人
  • 配偶者の理解があり、休職中の経済不安が小さい人

注意

復職を前提とした制度のため、休職中に転職活動を進める場合は、現職には伝えないこと。


自分に合う選択肢の判定フロー

Q1. 医療事務の仕事自体は好きですか?
├── はい
│   └── Q2. 場所と時間を変えれば続けられますか?
│       ├── はい → ① フルリモート医療事務
│       └── いいえ → ② 他院への転職
└── いいえ
    └── Q3. 心身の状態は?
        ├── 健康 → ③ 異業種転職
        └── 限界 → ④ 休職してから判断

辞めた後の生活設計(手取り・税金・健康保険)

退職後の生活で、見落とされがちな3つのポイントを整理します。

① 住民税の通知が来る

退職後も、前年所得に対する住民税が請求されます。

退職時期によっては、退職翌月から数十万円の請求が一括で来ることがあります。退職金からの天引きを選ぶか、年4回分割払いを選ぶか、事前に確認してください。

② 健康保険の3つの選択肢

退職翌日から、健康保険を選び直す必要があります。

選択肢 保険料目安(月) 期間
任意継続(前職の健康保険を最大2年使い続ける制度) 現在の2倍程度 最大2年
国民健康保険 前年所得次第 制限なし
家族の扶養に入る ゼロ 年収130万円未満

退職日翌日から14日以内の手続きが必要です。

③ 失業給付の受給

自己都合退職の場合:
- 申請後2ヶ月の待期期間
- 給付期間90〜150日
- 給付額:前職給与の50〜80%

「特定理由離職者」(パワハラ・健康被害が証明できる場合の区分。会社都合に近い扱いになる)の場合、待期期間が短縮されます。


4つの選択肢を「価値観」で並び替える

ここまで選択肢4つ、判定フロー、生活設計を整理してきました。最後に、4つを年収や難易度ではなく「価値観」で並び替えてみます。

価値観マトリクス

大切にしたいこと 最初に検討したい選択肢
家族と過ごす夜の時間 ① フルリモート医療事務
慣れた業務の安定感 ② 他院への転職
全く新しい環境で再起 ③ 異業種転職
まずは心身の回復 ④ 休職してから判断

私の場合:「夜21時に家族と同じ食卓に座る」を最優先にした

私の判断の核は、子どもが「パパいないの」と聞かなくなる生活を作ることでした。10年間、子どもの寝顔しか見られなかった夜が続いて、その積み重ねが効いてきたのを感じていました。だから年収60万円の減収は、私にとっては受け入れられる代償でした。

人によって正解は違います。家計を最優先にしたい人、業界そのものを変えたい人、健康を回復させたい人。それぞれの選択肢が用意されているからこそ、判断の主語を「自分の3年後・5年後」に戻してから選んでみてください。

押し付けず、選択肢を並べるだけ

この記事は、どの選択肢が正解とも言いません。ただ、4つあると知っていることと、1つしか見えていないことは、判断の質がまるで違います。選択肢を見比べる時間こそ、辞めた後を「後悔しない時間」に変えていきます。


3年後・5年後、振り返って正解だったと思える選び方

ここまで、辞めた後の選択肢4つ、判定フロー、生活設計を整理してきました。

最後に1つだけお伝えしたいのは、「選択肢は1つではない」ということです。

私自身、3年目で「辞めるしかない」と思っていた頃、選択肢が見えていませんでした。実際は4つもあったのです。

3年後・5年後、振り返って「あの時の選択肢を全部見てから決めた自分は、正しかった」と思える選び方を、応援しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 一番おすすめの選択肢は何ですか?

A. 健康と家庭の状況により全く異なります。判定フローで自分の状況を確認してください。

Q2. フルリモート医療事務は本当にありますか?

A. あります。私自身が現職です。求人数は限られますが、医療特化サイトでの検索がおすすめです。

Q3. 異業種転職で年収はどれくらい下がりますか?

A. 平均で50〜80万円下がりますが、長期的にはキャリアパス次第で逆転します。

Q4. 休職と退職、どちらが先ですか?

A. 健康被害が出ている場合は休職が先です。退職前提でも、休職中に冷静に判断する方が後悔が少ないです。

Q5. 退職後の貯蓄はどれくらい必要?

A. 月の生活費×6ヶ月分が目安です。配偶者の収入次第で調整してください。

Q6. 辞めた後、医療事務に戻れますか?

A. ブランクが2年以内なら、ほぼ問題なく戻れます。月1回程度のニュースチェックで知識更新を継続してください。

Q7. 異業種に転職した人は、医療事務に戻りますか?

A. 私の周囲では、3割が「やっぱり医療事務に戻る」と判断しています。理由は「事務職としての安定感」「人の役に立つ実感」です。

Q8. 育児休業中に転職活動を進めるのは可能?

A. 可能ですが、復職予定の職場には伝えない方が安全です。育休明け復職後に転職する流れが一般的です。

Q9. フルリモート医療事務の求人はどこで探せばいい?

A. 医療特化型の転職サイトと、一般職種サイトの「在宅勤務OK」絞り込みの2方向で探すのがおすすめです。求人数自体はまだ多くないため、エージェント経由で非公開求人にアクセスする方が早いです。

Q10. 子育てとの両立で、最も後悔が少ない選択肢は?

A. フルリモート医療事務か、子育てに理解のあるクリニックの2択になることが多いです。詳しくは 医療事務と子育ての両立 も参考にしてください。


まとめ

医療事務を辞めた後の選択肢は、4つあります。

  • ① フルリモート医療事務(時間と家族を取り戻したい人)
  • ② 他院への転職(仕事自体は続けたい人)
  • ③ 異業種転職(業界そのものに疲れた人)
  • ④ 休職してから判断(健康被害が出ている人)

「辞めたい」と思った瞬間は1つの選択肢しか見えなくなりがちですが、実際は4つあります。

3年後・5年後、振り返って「あの時に全選択肢を見てから決めた自分は、正しかった」と思える選び方をしてください。

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