「医療事務の採用って、結局どこを見られているの?」「資格がないと採ってもらえない?」
未経験だと、やっぱり不利なのかな。そんな不安を抱えたまま面接に臨む人は少なくありません。
この疑問に、総合病院で医療事務10年以上、うち1つの病院で元採用担当を3年やってきた経験からお答えします。
✅ この記事でわかること
- 元採用担当が選考のどの場面で、何を見ていたか
- 資格と経験、採用で本当に重視していたのはどちらか
- 採否を分けていた7つのポイント(テクニックではなく中身の話)
- 未経験と経験者で、見ている所がどう違うか
- AI時代の医療事務で、選ばれ続ける人の共通点
結論から言うと、採用で最後に効いていたのは「資格」でも「経験年数」でもなく、"この人と一緒に働けそうか"という現場の手触りでした。スキルは入職後に伸びます。
でも、人との向き合い方は履歴書と短い面接にしっかり出ます。そこを見ていました。
✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ
最初にひとつ、正直に書いておきます。採用する側にいた、というと偉そうに聞こえるかもしれません。でも実際は、こちらも毎回迷っていました。
採れなかった人に申し訳なさが残ったことも、何度もあります。そのうえで「ここを見ていたな」という本音を、これから応募する側の役に立つ形でまとめました。
医療事務の採用で、元採用担当が最初に見ていた3つの入口
選考は「履歴書」「第一印象」「受け答え」という3つの入口を順番に通っていきます。それぞれで見ていたものが違いました。
1つ目は履歴書です。 ここで見ていたのは、資格の数より「丁寧さ」と「続けてくれそうか」でした。字のうまさではありません。
空欄の埋め方、誤字の有無、志望動機が使い回しっぽくないか。職歴の間隔が短すぎないか。書類は、その人の仕事の進め方がそのまま映る場所でした。
2つ目は第一印象です。 入室から最初の数十秒で受ける空気は、想像以上に残ります。明るすぎる髪色や派手なアクセサリーよりも、清潔感があるか、表情がこわばっていないか。
医療事務は一日に何十人もの患者さんと向き合う仕事なので、「この人が受付にいたら、患者さんは話しかけやすいかな」と自然に想像していました。
3つ目は受け答えです。 すらすら話せるかどうかは、あまり重視していませんでした。それより、質問の意図を受け止めてから答えているか。
わからないことを「わかりません」と素直に言えるか。詰まっても、自分の言葉で戻ってこられるか。ここに、入職後の伸び方がよく出ていました。
面接そのものの所作や受け答えのコツは、別記事の医療事務の面接で受かる確率を上げる7つのポイントで具体的にまとめています。
この記事のテーマは、その奥にある「元採用担当が何を基準に採否を決めていたか」です。
資格と経験、医療事務の採用で本当に重視していたのはどっち?
ここは応募前にいちばん気になるところだと思います。先に答えを書きます。
資格は「入口のひとつ」、経験は「安心材料のひとつ」です。どちらも決定打ではありませんでした。
医療事務の資格は国家資格ではなく、民間資格です。だから「資格があるから採る」ではなく、「資格を取るために勉強した、その姿勢を見る」ものでした。
基礎用語を知っている人は立ち上がりが少し早い。でも、それだけで採否がひっくり返ることは、私の経験ではほとんどありませんでした。
経験者についても同じです。経験年数が長い人は即戦力として心強い反面、「前の職場のやり方」が強すぎて、病院ごとのルールに馴染みにくい場合もありました。
だから経験は安心材料ではあっても、それだけで採否を決める条件ではなかったです。
| 項目 | 採用での扱い | 元採用担当の本音 |
|---|---|---|
| 医療事務資格 | 入口のひとつ | 勉強した姿勢を評価。無資格でも不利になりすぎない |
| 実務経験 | 安心材料 | 即戦力だが、前職のやり方が強いと逆に懸念も |
| パソコン操作 | 地味に重要 | 入力が速く正確だと現場が助かる |
| 人柄・続けやすさ | 最重視 | スキルは伸ばせる。ここは短時間で見るしかない |
表のいちばん下が「人柄・続けやすさ」でした。ここが、最後に採否を分けていました。次の章で、その中身を7つに分けてお伝えします。
元採用担当が採否を分けていた、本当に見ていたポイント7つ
スキルの話ではありません。短い書類と面接の中で、「この人となら長く働けそうだ」と感じさせてくれた人には、共通点がありました。
1. 長く続けてくれそうか
採用にも教育にもコストがかかります。だから「すぐ辞めなさそうか」は、口に出さなくても全員が気にしていました。
前向きな転職理由を自分の言葉で話せる人、生活と無理なく両立できそうな人は、それだけで安心感がありました。
2. 素直に確認できる人か
医療事務は、思い込みのミスが患者さんの会計や保険に直結します。だから「わからないまま進めない人」を探していました。
面接で答えに詰まった時、見栄を張らずに「そこは確認させてください」と言える人は、現場でも同じように動いてくれます。
3. 相手によって態度を変えないか
面接官には丁寧でも、案内してくれた受付の職員にはそっけない人もいました。逆に、すれ違ったスタッフにも自然に会釈できる人もいました。
受付は、患者さんにも医師にも事務にも等しく接する仕事です。態度の一貫性は、地味ですがよく見ていました。
4. ミスを隠さず話せそうか
完璧な人を求めていたわけではありません。それより、過去の失敗を聞いた時に「どう立て直したか」まで話せる人を信頼していました。ミスを隠す人は、現場でいちばん怖い。
失敗を認めて報告できる人が、結果的に大きな事故を防いでくれていました。
5. 学ぶ姿勢があるか
制度や点数は改定のたびに変わります。だから「一度覚えたら終わり」ではなく、変化を面倒がらない人が向いています。
未経験でも、「知らないことを知るのが嫌いじゃない」と伝わってくる人は、入職後にぐんと伸びました。
6. チームに馴染めそうか
受付は一人で完結する仕事ではありません。早番遅番の引き継ぎ、医師や看護師との連携、繁忙期の助け合い。
だから「自分の担当だけやればいい」という空気の人より、周りと自然に協力できそうな人を選んでいました。
7. 患者さんへの想像力があるか
これが、最後に残るいちばん大きなポイントでした。具合の悪い人、不安な人、急いでいる人。その気持ちを想像できる人は、マニュアルにない場面でも適切に動けます。
志望動機の中に、患者さん側に立った一言がある人は、それだけで印象に残りました。
元採用担当として本当に見ていたのは、「今できること」より「これから一緒に育っていけそうか」でした。だから、未経験でも選んだ人はたくさんいます。
中盤でひとつだけ。医療事務の求人は、大手の総合転職サイトにも、医療や介護に強い求人サイトにも載っています。
応募先を一人で探すのがしんどい時は、担当者に相談しながら絞っていくのも一つの手です。気になる職場の選び方は、[ニチイとソラスト、医療事務はどっち?
](/blog/custom-nichii-solasto)も参考になると思います。
未経験と経験者、医療事務の採用で見ているポイントの違い
同じ「採用」でも、未経験の人と経験者では、元採用担当が見ている所が違いました。ここを知っておくと、面接での話し方が変わってきます。
未経験の人に見ていたのは「伸びる素地」でした。 今のスキルはゼロでも構いません。それより、覚える意欲があるか、続けられそうか、人と接するのが苦じゃないか。
未経験者の面接では、過去の別の仕事で「丁寧にやりきった経験」を聞くことが多かったです。業界は違っても、仕事への向き合い方は伝わってきます。
経験者に見ていたのは「柔軟さ」でした。 経験がある人には即戦力を期待します。
ただし、前の職場のやり方に固執しないか、新しいルールを受け入れられるか、そこを慎重に見ていました。
「前はこうでした」が多い人より、「ここではどうされていますか」と聞ける人の方が、現場にすっと馴染みました。
| 応募タイプ | 元採用担当が重視したこと | 面接で効く伝え方 |
|---|---|---|
| 未経験 | 伸びる素地・続けやすさ | 別業種でも丁寧にやりきった経験を話す |
| 経験者 | 柔軟さ・馴染みやすさ | 新しいやり方を受け入れる姿勢を見せる |
| ブランクあり | 戻る理由・生活との両立 | 前向きに再開したい気持ちを具体的に |
未経験からの始め方をもっと知りたい時は、医療事務は誰でもできる仕事なのかも読んでみてください。
AI時代の医療事務の採用で、選ばれ続ける人
ここ数年、「医療事務はAIでなくなるのでは」という声をよく聞きます。採用する側の感覚から言うと、見ている所が少しずつ変わってきているのは事実です。
レセプト点検や入力の補助は、システムが担う部分が増えています。だから「速く正確に入力できる」だけの価値は、昔より相対的に下がってきました。
その代わりに重みを増しているのが、機械に置き換えにくい部分です。たとえば、不安そうな患者さんに合わせて言葉を選ぶこと。
急変や苦情など、マニュアルにない場面で落ち着いて動くこと。医師や看護師との間に立って調整すること。これらは数字に出にくいぶん、採用面接でも見極めようとしていました。
つまり、これからの医療事務の採用で効いてくるのは、「処理の速さ」よりも「人と向き合う力」と「変化に合わせて学び続ける力」です。
資格の数より、この2つを持っている人が、長く選ばれ続けると感じています。
医療事務という仕事のこの先については、医療事務は将来なくなる?消える業務と残る業務で詳しくまとめています。
採用される側として、応募前にやっておきたい準備3つ
ここまで元採用担当側の目線で書いてきました。最後に、応募する側として、面接の前にやっておくと差がつく準備を3つだけお伝えします。
1つ目は、志望動機に「その病院でなければ」の一言を入れることです。 どこにでも出せる志望動機は、すぐに見抜かれます。通いやすさでも、雰囲気でも構いません。
「ここを選んだ理由」が一つあるだけで、印象が変わります。
2つ目は、過去の仕事の「丁寧にやりきった話」を一つ用意することです。 医療事務の経験がなくても大丈夫です。
前職で正確さや気配りを大事にしたエピソードは、そのまま医療事務の適性として伝わります。
3つ目は、書類を出す前に一晩寝かせて読み直すことです。 誤字や使い回し感は、見直すだけで防げます。
履歴書の書き方は医療事務の履歴書の書き方にまとめているので、提出前に確認してみてください。
採用は、上手に見せた人が勝つ場ではありませんでした。等身大の自分を、丁寧に伝えられた人が残っていました。だから、背伸びよりも準備に時間を使ってもらえたらと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療事務の採用は、資格がないと不利ですか?
資格は入口のひとつですが、決定打ではありませんでした。無資格でも、学ぶ姿勢や人柄が伝われば採用された人は多くいます。
私自身、無資格で3つの総合病院で10年以上の経験を重ねてきました。
Q. 未経験でも採用される可能性はありますか?
十分にあります。未経験者には「伸びる素地」を見ていました。別業種でも、丁寧にやりきった経験を自分の言葉で話せると評価につながりやすいです。
Q. 面接で第一印象はどのくらい大事ですか?
入室直後の空気は、たしかに残ります。ただ、派手さや笑顔の作り方ではなく、清潔感と話しかけやすさを見ていました。緊張で固くなっても、減点にはなりませんでした。
Q. 転職回数が多いと、採用で不利になりますか?
回数そのものより、理由を前向きに話せるかを見ていました。それぞれの転職に納得できる理由があり、長く働きたい気持ちが伝われば、回数だけで落とすことはありませんでした。
Q. ブランクがあっても採用されますか?
されます。ブランクの理由と、これから続けられる見通しを話せれば問題ありませんでした。生活との両立を具体的に語れる人は、むしろ安心材料になりました。
Q. パソコンが苦手でも医療事務になれますか?
基本的な入力ができれば、最初は十分でした。速さや正確さは入職後に伸びます。ただ、苦手なまま放置せず「覚えていきたい」という姿勢があると印象が良かったです。
Q. 年齢が高いと採用で不利ですか?
年齢より、その年代までに培った仕事への向き合い方を見ていました。落ち着いた対応や気配りは、年齢を重ねた人の強みとして評価していました。
Q. 元採用担当は、面接のどこを一番見ていますか?
一言でいうと「この人と一緒に働けそうか」です。スキルは入職後に伸ばせるので、人との向き合い方と続けやすさを、短い時間でいちばん丁寧に見ていました。
まとめ
元採用担当として見ていたポイントを、3つに絞ります。
- 資格や経験は入口や安心材料にすぎず、最後に効いていたのは「一緒に働けそうか」だった
- 未経験には伸びる素地、経験者には柔軟さ。応募タイプで見る所が違う
- AI時代に残るのは、人と向き合う力と学び続ける力。準備に時間を使った人が選ばれていた
採用は、優劣をつける場ではなく、相性を確かめる場でした。だから、選ばれなかったとしても、その人に価値がないわけではありません。
等身大の自分を丁寧に伝える準備さえできていれば、合う職場はきっと見つかります。応援しています。
関連記事
- 医療事務の面接で受かる確率を上げる7つのポイント
- 元採用担当が見た「使えない新人さん」と言われる共通点7つ
- 医療事務の履歴書の書き方|元採用担当の通過テンプレ
- 医療事務は将来なくなる?消える業務と残る業務
- ニチイとソラスト、医療事務はどっち?元採用担当が本音で解説
■ 著者プロフィール
3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つの病院で採用にも3年携わりました。
片道約50kmの高速通勤を10年続けたのち、転職サービス経由でフルリモートへ。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
最終更新日:2026年6月22日