「電話が鳴るたびにドキドキする」「また同じことを聞いてしまった、と落ち込む」「メモを取ったのに後で読めない」「先輩に聞くタイミングがわからない」

この記事を読むと、こんなことがわかります。

✅ 電話対応が怖くなくなる「3点セット」の準備方法
✅ 「また聞いた」を防ぐメモの書き方
✅ 先輩に聞くタイミングと聞き方のコツ
✅ シチュエーション別の電話対応(クレーム・問い合わせ・転送)
✅ 質問力が上がると、先輩の態度が変わる理由

結論から言うと、電話が怖いのは準備不足のせいではなく、準備の方向が間違っているせいです。正しい方向に変えるだけで、電話は怖くなくなります。


電話が鳴るたびに、胃が痛かった

入職して1ヶ月目。電話が鳴るのが本当に怖かったです。

「どこの部署からかかってきたんだろう」「保険証の確認の仕方、まだ覚えてない」「転送の操作、やったことない」受話器を取る前の2秒間に、全部の不安が押し寄せてきました。

しかも最悪なことに、患者さんに「少々お待ちください」と言ってから先輩に確認に行くと、「そのくらい自分で調べて」と言われてパニックになる。そのまま患者さんを3分待たせてしまって、「遅い!」と怒鳴られる。

電話を取るのが「怖い」から「苦痛」に変わるまで、時間はかかりませんでした。

朝6時に起きて、片道50kmを高速で1時間。それだけ通って来て、電話の度に胃が痛くなる。当時の私は「医療事務に向いていないんじゃないか」と本気で考えていました。


「丁寧に話すこと」より先にやることがある

電話が苦手な新人に対して、職場の先輩はだいたい「丁寧な言葉づかいで話しなさい」と言います。それは正しいですが、順番が違います。

丁寧に話すより先に、「手元に何があるか」の方が大事です。

電話対応に必要な「3点セット」 具体的な内容
① 「よく聞かれること」メモ 診療時間・休診日・駐車場・保険証の確認方法
② 院内の部署と内線番号一覧 どこに転送すればいいか迷わないための一覧
③ 折り返し用の名前・連絡先メモ用紙 電話中にすぐ書けるサイズのメモ帳を置く

この3つが手元にある状態で電話を取るのと、何もない状態で取るのとでは、心の余裕がまったく違います。

「そんな当たり前のこと」と思うかもしれませんが、私が入職した時は誰も教えてくれませんでした。自分で気づいて用意したのは3ヶ月後です。

3点セットを作る具体的な手順

  1. 用紙3枚を用意(A4でもA5でも可)
  2. 1枚目:診療時間・休診日・駐車場の場所・保険証で確認すること
  3. 2枚目:院内の主要内線番号(外来・病棟・検査・薬剤)
  4. 3枚目:白紙のメモ帳。受話器の真横に固定

この準備に必要な時間は、業務の合間で30分です。3ヶ月かけて作るものではありません。


シチュエーション別:電話対応の型

電話には「型」があります。型を持っていると、焦りません。

電話の種類 対応の型
一般的な問い合わせ 3点セット①で答える。わからなければ「少々お待ちください」
他部署への転送依頼 3点セット②で内線番号確認→転送
折り返し依頼 3点セット③に「名前・連絡先・用件・時刻」をメモ
クレーム電話 反論せず傾聴→「申し訳ございません」→上席へ転送
緊急・医療相談 看護師さんへ即転送(自分で答えようとしない)

クレーム電話で大事なのは「自分で解決しようとしないこと」です。新人のうちは特に、上席への転送を恥だと思わないでください。患者さんも「ちゃんとした人に対応してほしい」と思っています。


メモを取っているのに役に立たない理由

「ちゃんとメモを取っています」という新人さんに「後で見返してみてください」と言うと、半分以上が「自分でも読めない」と答えます。

理由は「聞きながら書いているから」です。話を聞くことに集中すると書く内容が断片的になる。書くことに集中すると話を聞き逃す。両方を同時にやろうとして、どちらも中途半端になります。

メモは「聞きながら書く」のではなく「キーワードだけ書いて、後で清書する」が正解です。

メモの方法 問題点
話を聞きながら全部書こうとする 書けていない部分が出る・字が読めない
キーワードだけ走り書き→その日のうちに清書 スピードが上がる・読み返せる

清書は業務の合間の5分でできます。その日のうちにやることが条件です。翌日以降にやろうとすると「あれ、これ何のメモだっけ」になります。

走り書きで使う最小キーワード例

  • 患者名(または受付番号)
  • 何の問い合わせ(保険・予約・道案内 等)
  • 結論(YES/NO・折り返す・転送した 等)

この3つだけ走り書きしておけば、その日の夜に清書すれば必ず再現できます。


「また聞いた」が起きる本当の理由

「また同じことを聞いてしまった」という悩みを持つ新人さんはとても多いです。でも、原因は記憶力ではありません。

「何を聞いたか」のメモが機能していないだけです。

聞いた内容を書いたメモが「バラバラのノート」に散らばっていると、次に同じことが起きた時に探せません。探せないから、また聞く。また聞くから「この子は何度言っても覚えない」と思われる。という流れです。

解決法はシンプルです。「業務テーマ別の1冊のノート」に集約するだけです。

テーマ ページの使い方の例
電話対応 受け答えのパターンをまとめる
保険確認 確認手順と注意点
レセプト よく間違えた点を記録する
先生への連絡方法 誰にどう連絡するかのパターン

バラバラに書かず、テーマごとに集約すると「また聞かなくても自分で探せる」状態が作れます。


先輩に聞くタイミング、どうしていますか?

「先輩に聞くのをためらってしまう」という声もよく聞きます。「また聞いたら迷惑かも」「忙しそうだから後にしよう」と思っているうちに、患者さんを待たせてしまう。

先輩の立場から言うと、一番困るのは「ためらった末に間違えること」です。聞いてくれた方が、断然助かります。

ただ、聞き方には差があります。

聞き方のパターン 先輩の受け取り方
「〇〇って何ですか?」 「何も考えずに聞いてきた」と感じやすい
「〇〇だと思ったのですが、合っていますか?」 「自分で考えた上で確認している」と伝わる

「自分はこう思った」という一言を添えるだけで、印象が大きく変わります。これは教わった記憶はありませんが、10年以上の経験でそう感じています。

NG例 / OK例

NG例
「すみません、今この電話の方が保険証のことで聞いてきてるんですけど、どうしたらいいですか?」

OK例
「電話の方が『保険証を忘れた』とのことで、私としては『次回ご持参でも構いません』と案内しようと思うのですが、合っていますか?」

OK例なら先輩は3秒で「うん」と返せます。NG例だと先輩が状況を聞き直すところから始まり、患者さんを待たせる時間が長くなります。


よくある質問(FAQ)

Q. 電話に慣れるには、とにかく数をこなすしかないですか?

数も大事ですが、準備が先です。「3点セット(よく聞かれること一覧・内線番号一覧・折り返しメモ用紙)」を電話機の横に置いてから取り始めてください。準備なしで数をこなしても、怖さはなくなりません。

Q. 先輩が怖くて質問できません

「少しよろしいですか」という一言を先にかけると、先輩も「聞かれる準備」ができます。忙しい時間帯を避けて、業務の合間に聞くタイミングを見極めてください。どうしても怖い場合は、同僚や別の先輩に聞くことを優先してください。

Q. メモを取る時間がないくらい忙しい場合はどうすればいいですか?

その場ではキーワードだけ走り書きして、業務が一段落した時に清書する。忙しいからこそ「後で思い出せる最小限の単語」だけ書く習慣が重要です。

Q. 覚えが悪い自分は向いていないのでしょうか?

メモの仕組みが整っていない状態で「覚えが悪い」と感じているだけの可能性が高いです。仕組みを作ってみてから、改めて自分の向き不向きを判断してください。仕組みなしで覚えようとするのは、ヒントなしで全部覚えようとするのと同じです。

Q. 電話対応でよく言葉に詰まります。どうすればいいですか?

「少々お待ちください」を覚えていれば大丈夫です。詰まった瞬間に「少々お待ちください」と言えると、その間に確認ができます。「少々お待ちください」は魔法のフレーズです。

Q. 受話器を取った瞬間に焦ってしまいます

まず一呼吸おいてから「お電話ありがとうございます、〇〇病院です」と言ってください。一呼吸置くだけで、声が落ち着きます。焦って早口で話すと、患者さんにも不安が伝わります。

Q. クレーム電話を一人で受けてしまった時の対応は?

反論せず、まず傾聴。「申し訳ございません」と一言入れた上で、上席や担当者に転送してください。新人が一人で抱えるべき電話ではありません。


まとめ

  1. 電話が怖いのは準備不足ではなく「準備の方向」の問題。3点セットを手元に置くだけで変わる
  2. メモは聞きながら書かず、キーワードだけ走り書き→その日のうちに清書
  3. 「また聞いた」は記憶力の問題ではなくメモの整理の問題。テーマ別に1冊に集約する
  4. クレーム電話・緊急電話は新人が一人で抱えず、必ず上席や看護師さんに転送

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著者プロフィール
ゆう|医療事務10年以上・現フルリモート
総合病院で10年間医療事務を務めました。入職1ヶ月目は電話のたびに胃が痛くなっていました。あの頃の自分に教えてあげたかったことを書いています。現在はフルリモートで算定業務をしながら、3人の子どもを育てています。
Instagram: @iryo_jimu

最終更新日:2026年5月17日