「ご家族は何をされているんですか」「お住まいは持ち家ですか」
面接でそう聞かれて、答えながら引っかかった。そんな経験はありませんか。

この引っかかりに、総合病院で医療事務10年以上、元採用担当3年の私がお答えしますね。
面接を受ける側と、質問をする側。どちらの椅子にも座ってきました。

✅ この記事でわかること
- 厚生労働省が「把握しないこと」と示している事項
- 実際に聞かれた時の返し方3つ
- シフトの確認と、踏み込みすぎた質問の線引き
- 気になった時の相談先

先に答えをお伝えすると、仕事の適性や能力に関係のないことは、答えなくて構いません。採用側がそこを把握しないよう、国が求めているからです。

知らないまま答えて、あとでもやもやする。それがいちばんもったいないところ。

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✅ この記事を書いた人
ゆう|3つの総合病院で医療事務10年以上|元採用担当3年|現フルリモート医療事務|3児パパ

採用選考で「把握しないこと」とされている事項

まず、基準から。

厚生労働省は、採用選考を応募者の適性と能力だけで判断することを基本にしています。

そのうえで、次のような事項は把握しないよう求めています(公正な採用選考特設サイト・2026年7月28日確認)。

採用選考で把握しないこととされている事項。本人に責任のない事項は本籍出生地、住宅状況、家族のこと、生活環境。本来自由であるべき事項は宗教、人生観、思想、購読新聞、支持政党、尊敬する人物、社会運動

本人に責任のない事項

  • 本籍・出生地に関すること
  • 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
  • 家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
  • 生活環境・家庭環境などに関すること

本来自由であるべき事項

  • 宗教に関すること
  • 人生観・生活信条などに関すること
  • 支持政党、尊敬する人物に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
  • 労働組合や学生運動などの社会運動に関すること

生まれた場所も、家族の仕事も、自分では選べません。信条は、誰かに合わせるものでもない。だから選考の材料にしない、という考え方です。

医療機関の面接では、こんな形で出てきます

ここからは、私が採用側にいた3年間で見てきた話を。

上のような質問は、意地悪で出てくるわけではありません。むしろ雑談のつもりで出てしまうことのほうが多かったです。

緊張をほぐそうとして家族の話に入る、といった流れですね。

面接で出やすい形。ご家族は何をされていますかという雑談、ご主人の転勤はありますかという確認、お住まいは持ち家ですかという世間話。悪意なく出ることが多い

よく出るのは、この3つの形です。

出てくる形 実際の質問例
雑談として 「ご家族は何をされているんですか」
確認のつもりで 「ご主人の転勤の予定はありますか」
世間話として 「お住まいは持ち家ですか。お近くですか」

聞いた側に悪気がなくても、答える側は「これも選考に入るのかな」と考えてしまいます。答えたくないことを聞かれるのは、それだけで負担になりますよね。

その負担をなくすために、把握しないことが求められている。順番はそういうことです。

聞かれた時の返し方3つ

その場で「それは答えられません」と言い切る必要はありません。気まずくなるだけで、こちらにいいことがないからです。

使えるのは、この3つです。

聞かれた時の返し方3つ。仕事の話に戻す、働ける時間の話に置き換える、答えないと決める。その場で指摘しなくていい

① 仕事の話に戻す

いちばん角が立たない方法です。

💬 「家庭のことで仕事に影響が出ないようにしています。それより、受付の業務についてお伺いしてもよろしいでしょうか」

質問には正面から答えず、話題を仕事に戻します。相手も雑談のつもりなので、たいていはそのまま流れていきます。

② 働ける時間の話に置き換える

家庭の事情を聞かれた時に、いちばん使う形。

💬 「平日は毎日入れます。土曜も月1回であれば調整できます」

家族が何をしているかではなく、自分が何曜日の何時に働けるかだけを答えます。採用側が本当に知りたいのはシフトなので、これで話は前に進みます。

③ 答えないと決めておく

信条や宗教に関することは、無理に答える必要がありません。

💬 「そのあたりは、仕事とは分けて考えています」

言い方を先に用意しておくと、その場で固まらずに済みますよ。

シフトの確認と、踏み込みすぎた質問の線引き

ここがいちばん迷うところだと思います。

同じ「家庭」に関わる質問でも、勤務条件の確認と、家庭の事情そのものへの質問は別です。

質問の線引き。土曜に入れますかや何時から働けますかは勤務条件の確認。ご主人の職業やお子さんは何人ですかは家庭の事情。前者は答える、後者は働ける時間の話に置き換える

質問 性質 答え方
「土曜に入れますか」 勤務条件の確認 そのまま答えます
「何時から何時まで働けますか」 勤務条件の確認 そのまま答えます
「お子さんは何人ですか」 家庭の事情 働ける時間の話に置き換えます
「ご主人のお仕事は」 家族に関すること 仕事の話に戻します

判断の基準はひとつ。その答えが、勤務時間や業務の話につながるかどうかです。

つながるなら答えて損はありません。つながらないなら、置き換えて構いません。

なお、子どもの急な発熱など、実際に休む可能性がある事情は、伝えておくほうがあとが楽になります。伝え方は「休む可能性」と「その時に使える手段」をセットにするのがコツですね。

書類で求められた時はどうするか

面接だけでなく、書類でも同じ考え方が示されています。

書類でも同じ考え方。選考の段階で戸籍謄抄本や本籍地が記載された住民票の写しを慣行的に求めることは避けるよう求められている。入職が決まった後の手続きに必要な書類は別の話

厚生労働省は、差別的な意図がなくても、戸籍謄抄本や本籍地が記載された住民票の写しを慣行的に求めることは、応募者に不安や苦痛を与えるため行わないよう求めています(公正な採用選考特設サイト・2026年7月28日確認)。

入職が決まったあとの手続きで必要になる書類とは、話が別です。選考の段階で求められて迷った時は、次の相談先へ聞いてみてください。

気になった時の相談先

その場で我慢して、帰り道でずっと考えてしまう。これがいちばんつらいところ。

相談先はハローワークと都道府県労働局。厚生労働省が、採用選考で気になる質問があった時の問い合わせ先として案内している

厚生労働省は、こうした質問を受けた場合の問い合わせ先として、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局を案内しています(求職者の皆様へ・2026年7月28日確認)。

その病院に応募し続けるかどうかは、また別の判断です。ただ「これって普通なんだろうか」を一人で抱えなくていい、という道があることは知っておいて損はありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 答えなかったら、不採用になりませんか?

私が採用側にいた時、答えをはぐらかされたことを理由に落としたことはありませんでした。そもそも、選考の判断に使う情報ではないとされているからです。

ただ、質問を全部かわす姿勢が続くと、会話が噛み合わない印象は残ります。仕事に関する質問には具体的に答える

そのうえで、関係のない質問だけ置き換える。この形がいちばん自然です。

Q. 結婚や出産の予定を聞かれることはありますか?

聞かれることはあります。これも本人の適性・能力とは関係のない事項です。

答えたくない時は、働ける期間の話に置き換えます。「長く続けたいと思っています」で足ります。

Q. 持病や通院歴は、答えないといけませんか?

厚生労働省は、合理的・客観的な必要性が認められない健康診断を選考で行わないことも挙げています。家族の病歴も、把握しない事項のほう。

ただ、業務に直接影響する健康状態(立ち仕事が続けられるかなど)の確認は、話が別になることもあります。判断に迷ったら、上の相談先で聞くのが確実ですよ。

Q. パートやアルバイトの面接でも同じですか?

同じです。雇用の形にかかわらず、採用選考は応募者の適性と能力で判断することが基本とされています。

Q. 面接で不快だった病院は、避けたほうがいいですか?

判断材料の1つにはなります。面接の場は、その職場の人との距離の取り方が出やすい場所だからです。

とはいえ、面接官がたまたま雑談の下手な人だった、ということもあります。ほかの条件と合わせて考えるほうが後悔しにくくなりますよ。

Q. 転職サービス経由なら、担当者に伝えられますか?

伝えられます。応募先へ直接言いにくいことを間に入って確認してもらえるのは、サービス経由の利点です。

事実だけを短く伝えて、次に進むかどうかを一緒に決める。それで十分です。

まとめ|知っておくだけで、面接で消耗しなくなる

  1. 仕事の適性と能力に関係ないことは、答えなくていい:本籍・住まい・家族・信条は、把握しない事項とされています
  2. その場で指摘しなくていい:仕事の話に戻す、働ける時間に置き換える、答えないと決めておく
  3. 線引きは「勤務の話につながるか」:土曜に入れるかは条件の確認、家族の職業は別の話

面接は、選ばれる場であると同時に、こちらが職場を見る場でもあります。基準を知っておくと、必要以上に自分を責めずに済みますよ。

聞かれる質問そのものへの答え方は、医療事務の面接でよく聞かれる質問12選にまとめています。

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■ 著者プロフィール
総合病院3院で医療事務10年以上、うち1院で元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年7月28日